魔法都市オリオンの剣士

「そなたに聞く。強く、なりたいか――」

実家のとある事情で、両親を失った俺は中学3年の時に家を出て独り立ちをすることになった。

金も、食料も、家も、家族も――。

なにもない俺には、その場で餓死するしかなかった。しかし、一人の老人がそれを救ってくれた。

「もう一度聞く。強く、なりたいか――」

実家を出て分かったことが一つある。それは、両親が出てっただけで死んではないということ。俺の目の前から姿を消しただけということだ。俺は、両親を探すべく、この世界では強くあっていなければならない。なので、返事は決まっている。

「はい。強く、なりたいです。両親を、探すために、強く、誰よりも強く」

すると、その老人は笑顔でこう言った。

「いいだろう。その願い、わしが叶え…続きを読む