第4話 特訓授業③
「喰らえ!
俺の魔剣から火の歯車が出現し、相手を襲う。しかし、それをカグヤさんはなんなく交わしてみせる。
「これが、魔剣の力か。ほんとに、魔法剣士みたいね」
「へへ。そりゃ、どうも。次!」
俺は避けたカグヤさん目掛けて魔剣を突きつける。しかし、突きつけたと思ったらそれは幻影だったらしく、カグヤさんは消えた。
「甘く見られたら困るって、言ったでしょ!」
背後から声がして、「あっ」ってなったのもつかの間。一瞬にして魔法を撃たれてやられた。
「勝者、『リーン・フォン・カグヤ』!」
この試合を見ていたクラスメイトのみんなからは、「すげぇ迫力だったな」とか「はじめて使う剣をすぐ使いこなすなんてやばいぞ」などの歓声の声が強かった。
「いやぁ参りました、カグヤさん」
「まあ、楽しませてもらったわ。次も勝つからよろしくね」
「おう。俺も次までには、鍛え直して勝てるようにしてやるからな」
今日の特訓授業(クラスメイト同士の試合)での結果は21勝1敗。そう、カグヤさんにしか負けていないのである。順位でいうと俺は、クラスの中ではトップ2に入る。クラスの人数は22人ってことになる。
「さて、疲れたけど夕飯でも作りますかぁ」
「え。あなた、ご飯作れるの?」
「そりゃ作れますよ。師匠直伝のね」
俺は修行がてら、両親に教えてもらえなかった料理などを師匠に教えてもらっていた。だからチャーハンや親子丼といった料理から、中華料理など作れるバリエーションは豊富だ。今日はハンバーグにすることにした。
「あ、カグヤさん。悪いけど、そろそろできるからご飯盛ってくれないかな」
「仕方ないわね。いい試合できたお詫びってことにしてあげる」
「フフ。ありがとう」
「ちょ、なにがおかしいのよ!」
「いいや、なんでもないさ」
ご飯盛ってくれるのが嬉しくてつい、ニヤけてしまったまでのこと。ニヤけるレベルじゃないけど。ハンバーグが出来上がったので、刻んでおいたキャベツと一緒に盛り合わせる。
「お待たせ。じゃ、食べよう」
「いただき……ます」
俺は食べず、カグヤさんの食べているところを眺めていた。キモすぎだろ。
すると、カグヤさんは口元を両手で抑えて信じられないと言わんばかりの表情をする。
「な、なによそんなにジロジロ見て」
「いや、カグヤさんもそんな嬉しそうな顔するんだなぁって」
「べ、別に嬉しくなんかないし」
そのあとカグヤさんはすぐに平らげていた。俺もそのあとを追うかのように急いで食べる。
「ごちそうさま。作ってくれてありがとね。じ、実は私、料理下手なのよ……。よかったら、毎日作ってくれないかな」
と、カグヤさんらしくない質問がきた。照れくさそうにしているので、おそらく自分もそれを自覚しているのだろう。
「ああ、いいよ。じゃあ、毎日洗い物よろしくお願いします」
「私が雑用係みたいじゃないのそれ……」
こうして、彼女との仲は徐々によくなっていく。
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