第5話 鬼神
今日俺はやることがあったので、街に外出をしていた。カグヤさんを誘おうとしたけどやっぱりやめてしまったのが情けない。
「デートみたいだもんなぁ。二人きりは嫌だよな。お、着いた」
目的地というのはマジックグランプリの舞台であるマジックドームだ。
中に入ると、武道館とは圧倒的に比べものにならないほどの広さだった。こんなところで魔法同士のぶつかり合いが起こるのか……。観光をしていると、戦う場のところのちょうど真ん中あたりに一人の男性がいた。何者だろうかと話しかけてみることにする。
「すいませーん。あなたは、どうしてここに?」
俺のいるところは観客席なので遠い。聞こえていないのだろうか、返事をしない。だが、彼は魔装を展開させてブンっと振ってみせた。斧の魔装だ。
「すげぇ」
俺が呆気に取られていると、彼に向かって三人の強そうな男性が襲った。しかし、彼らを見事に薙ぎ払って倒した。
「あいつ、強い……」
「そこの君。僕と殺り合うために、ここに来たのかい?」
彼は俺にそう問うてくる。観光目的で来ただけなので、殺り合うつもりはない。しかし、折角の機会なのでやることにする。
「はい!俺の名前は立花学園1年生の、山野大知と言います!お願いします!」
俺は観光席から飛び降りて、彼の元へと向かう。
「ほう。1年生か。俺の名前は三星学園2年の
三星学園2年……。俺より先輩だ。俺の実力を相手に見せてしまったら、噂を流されるだろう。しかし、俺は負けずに対抗する。
「臨むところ。あなたの実力を試させていただきますよ。俺の実力はBランクですが」
「威勢のいい小僧だな。気に入った。俺はSランクだ。マジックグランプリに代々出場している。では、ゆくぞ!」
彼の禍々しい斧が俺に斜め斬りをお見舞いする。かと思いきや、俺は魔剣を使い、それを防いでみせる。
「ほう。珍しい剣だな。立花学園で剣を使うやつなどお主だけだろう。
禍々しい斧にさらに赤いオーラが重なり、三連続攻撃を仕掛けてきた。完全に防げず、三連撃目で仕留められた。
「痛てぇ……。でも、こっちだって負けてませんよ。火炎放射!」
火の魔剣から直接相手に炎を放出して重い魔法による一撃をお見舞いするこの技。しかし、斧で簡単に払われた。
「まだ魔力は少ないようだな。俺のにも及ばない。だが、1年生ながらBランクとは素晴らしい。いずれ、お前とはマジックグランプリで当たるだろう。その時はまた、全力で行かせてもらう」
「終わり、ですか……?」
「ああ。引き分けだ」
謎の男との戦闘はあっという間に終わった。立花学園へ帰り、西校舎202号室という俺たちの部屋にいる。
「なあ、カグヤさん。一つ聞いていいっすか」
「別にいいけど。それに、同学年なんだから敬語はやめろとあれほど……」
「すみません。次からはちゃんと敬語辞めますから。ありがとう。えっと、三星学園2年の斧使いってご存知ですか?」
すると、カグヤさんは驚いた表情をみせてくる。
「ご存知もなにも。あの、Sランクの野郎だろ。名はまだ噂になってないが、鬼神という通り名があるらしい。めっちゃ強いらしいわね」
「そうなのか、ありがとう」
鬼神っていうにはそうとう強いんだろ。でも、彼の斧の使い勝手はまことに凄かった。適うはずがない。
考えているうちに深夜になってしまったので、二段ベッドの上で俺はいつも寝ているので、ベッドに入って目を瞑る。
「……。鬼神……か」
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