第6話 休日①
「おはよう、カグヤさん」
「おはよ」
これじゃまるで、新婚夫婦か同棲生活を始めたばかりのリア充みたいな雰囲気だな。
「今日、休日だけど暇だしどっか行かないか?」
「……。一人で行けば?」
くっ……。冷たい反応待ってました!じゃなくて、冷たすぎでしょ。うーん。
「いやぁ、あのさ、たまには特訓ばかりじゃなくてちゃんと気分転換をした方がいいのでは、と思いまして」
「そっ。ま、別に用事も無いから行くけどさ」
うおおお!ボッチじゃ寂しいから反応貰えて嬉しい。
「そっか。ありがとう。行く宛てはあるんだけど、まだここにきて2ヶ月しか経ってないからそこまで道に詳しいってわけじゃないから……ええっと、その」
「道案内……してほしいとでも言うの?端末から調べればすぐじゃない」
「そ、そうですよね。あはは」
なにやってんじゃ俺はああああ。てか、仲良くなってきたと思ってたのって俺だけ!?
こうして、俺とカグヤさんは私服に着替えて都心にやってきた。
「カグヤさんの、その格好良いですね」
「そ、そう?ありがと……う。てか、敬語まだ使ってるし」
「あ、つい癖で、でちゃうから仕方ないのでそこは気にしないでくれると……ありがたい」
「まあ、この際なんでもいいわよ」
カグヤさんの今日のスタイルは青のミニスカに白色のオフショルダーである。可愛い……。足もミニスカのおかげで丸見えなので太ももフェチである俺からしたら堪らない。
「良い格好と言ってくれるのはありがたいんだけど、そんなにジロジロ見ないでくれる?」
気づかないうちに俺はカグヤさんの服装に見入ってたらしい。それも、当然のことだろう。
「あ、す、すみません。つい。ところで、カグヤさんってカフェとかってよく行く方?俺がここに来る前に住んでた国でカフェがあったんだけど、ここにあったら是非ご馳走したいなと」
「カフェは結構行く方よ。ここにもちろんあるみたい。えっと、すぐ近くね。ここを左に曲がって真っ直ぐ行けば……。あ、ほらあそこ」
カグヤさんは指を目の前の店に指していた。たしかにカフェだ。1年ぶりの。
カランカランとドアを開けたら鳴る。そこで、店員の「いらっしゃいませ」という綺麗な挨拶が聞こえる。
「やっぱりカフェって落ち着くのよね〜」
指定された席に座ってメニュー表を眺めていた俺は目の前のカグヤさんの意見に同感していた。
「それな。めっちゃ落ち着く。あ、俺先に頼んでもいいですか?」
「順番とか別に関係ないわよ。私も決まったから一緒に頼んでおいて」
「ういっす」
テーブルに置いてあった呼び出しベルを鳴らして店員を呼ぶ。そして2人の昼食であるデザートパンなるものと、俺はキャラメルラテ、カグヤさんはカフェオレを頼んだ。
「デザートパンって言うぐらいだから、果物が食パンの上にのってんのかな」
「多分、そうだと思う」
少し経ってから店員が来て頼んだメニューが来た。やはり、デザートパンは食パンの上にどっさりと色んな果物がのっていた。パンをかじろうとしたその時、店のドアが開き、まるでヤンキーのようなやつらがこっちへと向かってくる。
すると、5人のうち一人の男が話しかけてきた。
「よお、嬢ちゃん。元気だったかぁ?まあ、男と二人きりってことは元気だわなぁ。ガハハハ。どうだ?俺たちとお茶でもしていかない?こんな弱そうな男とつるんでないでさ〜」
俺は黙って二人の会話を聞いていた。
「そんなつもりはありません。そもそも、あなたたちと面識がありません」
「君、そんな事言える立場?今日はこのぐらいにしてやるよ」
男はそんなことを言って唾を吐いて店を出ていった。
「彼ら、誰なんです?俺になにか力になれることがあれば、言ってください」
「あなたに話す、義理はないわ。お言葉だけ貰っておくわ。言うとしたら、私の国で言うところの中学のころからあいつらちょっかい出してくるのよね」
「知り合いじゃないのにか?」
「うん」
俺は帰ったらアイツらのことについて調べておこうと意を決する。
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