第9話 山野流奥義、魔術殺し
「うおおおお!!!」
俺の気合いの受け流しが成功する。やつの槍を見事に流したのだ。しかし、乗馬能力に長けているやつには全く通用せず、体勢を立て直されてもう一撃喰らった。横腹を抉られてしまったのだ。
「ぐっ。なかなかやりますね。でも、俺だって負けてられないんですよ……。山野流奥義、鶴の舞」
俺は抉られてもなお、立ち上がり鶴の舞でやつの馬を斬り裂く。しかし、機械型のためか、全く通用しない。金属音だけが鳴り響く。
「フハハハ。甘く見られたものだな私も。行くぞ!ガン・ショットォォオ」
やつの槍の先端が突然開き、その中心に青白い光が発光していた。ガンランスと言ったところか……。ビームが放たれると予想して、俺は横に飛んで回避する。回避した直後、元いた位置にデカい穴が一直線に空いていた。
「あんなの喰らったらひとたまりもないな。あれがあいつの、技のひとつと言ったところか。魔力充填して放たれるガン・ショットの威力はヤバい。どうするか……」
「なぁに、ブツブツ言ってんだァ!?貴様の相手は元よりするつもりはない!ガン・ショットォォオ」
再び槍に魔力充填され、ガン・ショットが放たれようとしていた。まずい、狙いは勝敗を決めるクリスタルか。
勝敗を決める。つまり、戦う選手の背後にはそれぞれクリスタルがひとつ配置される。そのクリスタルを破壊する。もしくは、選手を戦闘不能にすることで勝敗が決まる。
なんとか、防がないと……。あ、あの魔法があったか……。
「山野流奥義、
魔法陣がクリスタルの前の地面に設置される。その魔法陣から縦に柱のように炎が出現する。その炎はたちまちガン・ショットを包み込み、打ち消す。これは、俺の元々あった剣術、山野流奥義、
「な、俺のガン・ショットを打ち消した……だと!?なにを、したのだ……」
「小細工はなにもしてねぇさ。俺の技能が1枚上手だっただけだ。こっちは回復したんで、行かせてもらいまっせ。フレイム・サイクロン!」
フレイム・ヒールで俺の傷を回復させ、フレイム・サイクロンという風の魔法と火の魔法を合わせたオリジナル合体魔法でクリスタルを狙う。クリスタルの破壊の仕方は、ただ魔力充填された武器でちょっと触れるだけで壊すか、魔法による攻撃のみ。
ただ単純な攻撃は弾かれるだけだ。しかし、流石の騎士様であるやつだ。馬を活かした俊敏さで、すぐに追いつきバリアを張って防いでみせた。
「貴様、1年のくせによーやりおるわ。だがな、俺には上級生のプライドってやつがあるんだよ。譲る訳には行かないんでね。ダーク・ショットォォオ」
漆黒の雷の形をしたビームが俺のクリスタルを襲う。しかし、俺はそれをまた、フレイム・シールドでかき消す。
「ふふふふはははは。つくづく面白い戦い方をするなぁ!ますます楽しくなってきたわ!これで終いだ!ネオ・バーストォォオ!!!!!!」
魔力を最大量充填させた凄まじいパワーのビームが俺のクリスタルに向かって一気に発射された。フレイム・シールドを出す時間が足りなかったため、こっちも負けていられなかった。相手がクリスタルを狙うなら、当然俺もそうする。
「頼む、間に合え……。フレイム・アロー!」
炎でできた矢が魔法陣から射られる。フレイム・アローの速度を中心に魔力充填をさせた。そしたら、ネオ・バーストよりも迅速な矢が完成し、クリスタルに一秒で追いついて破壊した。そのあとすぐに、俺のクリスタルが破壊される音が聞こえた。
勝敗の結果は果たして。
「す、凄く熱い試合だったため実況を忘れていました……。勝者は、山野大知選手ー!」
会場に溢れるデカい歓声。俺は勝ったのだと、改めて実感する。すると、背後から魔装を解除させたジョン・アレスが向かってきた。
「ふん。良い試合だった、ありがとう」
「こちらこそ、色々学ばさせていただきました」
ジョン先輩と熱い握手を交わすと、再び歓声が轟いた。
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