第12話 Bブロック3回戦 VS鈴木勇気
しっかし、あのカグヤさんが俺に理由を聞いてくるとはな……。いったい、なにかあったのだろうか。
「他人のことを深く考えるのはやめよう。今は、俺の試合に集中するんだ」
そして、アナウンスにより「まもなく試合がはじまります。選手の両者は、フィールドへ入場してください」との呼びかけが(待機室にいる俺と対戦相手にだけ知らされる)あったので、待機室を出てフィールドへ入れるドアのとこまで来た。
「いよいよ3回戦。これに勝てれば、準決勝か……。余程の手練が待ち受けているはずだ」
俺は意を決してフィールドへ入場した。「わぁーーー」というすごい歓声が轟く。1年生で3回戦まで来れたのは今年がはじめてらしい。会長曰く、「今年の1年生はかなり豊作だな」らしい。
「君が今、大活躍中の1年生か。こうして交えられることを光栄に思うよ」
俺の対戦相手こと、鈴木勇気。3年生にしてランクはA。かなりの上級者だ。そんな人が俺に尊敬を抱くはずがなく、
「クククク。なぁーんてな!俺様がお前を尊敬すると思ったか!?ばぁーか!余裕で勝てるわァー。前の2回戦見てたけどさー、辛勝だったよねぇ?大丈夫ぅ?うひゃひゃひゃ」
見事、的中した。こいつは噂通りの悪役そのものだ。形相を悪い奴に変えて俺を一気に言葉で追い詰めようとしてくる。だが、言葉に俺はやられるわけにはいかない。
「先輩。言っときます、俺は負けませんので」
すると、実況者が声を高らかに。
「なーんと!山野選手、ここで勝利宣言だー!3年生のAランクともあろう人にたいし、この余裕っぷり!試合が楽しみですぅ!」
「ふん。そんな余裕な顔でいられるのは今のうちだからなぁ!時間は経った。では、こちらから行かせてもらおうかぁ!ヒャハハハ」
彼は狂った勢いで俺に迫ってくる。素手で俺と戦うつもりなのだろうか。俺はそうであると信じて、両足でステップをし、左拳を上に、右拳を下にして言わゆるファイテングポーズをとった。
「なぁにそれ!?ギャハハハ。闘士のつもりかよ!残念だが、俺は素手でやり合おうなんざ、思ってねぇぜ!!魔装展開!」
「きたー!鈴木選手の魔装展開だ!こっからどう出るか、山野選手!」
どんな魔装が来るのか。それは、一瞬の出来事だった。突如視界をなにかに奪われ、目の前が真っ暗になった。そして、俺はいつの間にかクリスタルの真横まで強烈な腹パンをされたが如く吹き飛ばされていた。
「ケホッケホッ。いったい、なにが……」
「クリスタル、はーかいっと」
なっ!?いつの間に……。なにをされたんだ俺は。身動きが、取れない。くそっ。でも、俺にも魔法の心得はある。腕を前に突き出さなくても魔法は撃てる。だけど、あいつがどこにいるのかわからない……。
「いや、わからなくてもいい。クリスタルを隙間なく、囲うようにしてフレイム・シールドを発動させられれば……」
「フハハハ!笑えるねぇ!雑魚スギィ!俺の幻惑魔法と、幻影魔法を破れないようじゃ……。勝てっこねぇよ!!」
後ろから尻に蹴りを入れられた気がした。それは、気がしたではなくほんとのことだった。めっちゃ痛い。幻惑ということは。これは、俺を惑わす暗闇。そして、真横のクリスタルが幻影ってことになるのか……?
その時、俺は気づいていなかった……。この答えが正しくないということを……。
魔法都市オリオンの剣士 龍牙王鳳 @saoaloggounlimitedworld1245
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