地域の小さな出版社、でも、その存在は地域にとって無二。

地域出版社を舞台にしたお話ということで、このお話を読みだしました。
おそらく作者様も私と同じ県に住んでおられるのだと思いますが、私の住んでいる県は、地域出版社や、信念を持って独自のラインナップを揃えている書店が昔は多く存在していたのです。
今では活動している地域出版社も減り、閉店した書店も多くて寂しい限りです。
出版不況と言われてから随分と時間が経ちますが、今も好転の兆しは見えません。
そんな出版不況の逆風の中でも経営を続ける「黒百合書房」を舞台にした本作。
「黒百合書房」の校正係を務める主人公「設楽野花」。
感受性が強く繊細だけれど、それ故に観察眼が鋭く時にシニカル。
そんな彼女を通して周囲の人々の人間模様を描く本作は、出版を中心に地域社会や人の世の営みを生き生きと描き出しています。

本を愛する方ならば共感いただけると思います。
拙いレビューですが、目に留めていただけたのならば、是非一読をお勧めします。

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