部屋を片付けられない奥様と、散らかった部屋にストレスを感じているご主人の話。
序盤は、部屋が散らかっている有様が淡々と描写されているのですが、これが不思議と読ませる文章なのです。
ご主人目線の一人称は、悲壮感が漂いながらも、どこかユーモラス。
すると、あら不思議!
話の中盤で摩訶不思議なことが起きます。
これは夢か、それとも魔法か。
主人公がとても楽し気で、つい自分も「ポン!」とやりたくなります。
そして、テンポよく進む物語をワクワク読み進めると、事態は怪しい雲行きに……。
そうなんです! 可愛らしいタイトルのくせに、ホラーなんですこれ!
(((・Д・;)))
ラストに行くにしたがって、何が本当のことなのか、だんだんわからなくなってきます。
実に巧い具合にぼやかしてあって、それがとっても怖い。
このレビューも涙目になりながら書きました! 笑
最後の二行にゾッとさせられ、リアルに肩のあたりがゾクゾクしました。
そして、恐怖のあまり、部屋を片付けたくなりました。
そうです。私も部屋を片付けられない人間なのです。
いつも散らかして本当にごめんなさい……。
散らかし魔の奥さんと、その散らかしっぷりにストレスを抱える旦那さんのお話です。
物語は全体的にカジュアルな雰囲気で、気楽に読めるのですが、時折怖い言葉や感情が顔を覗かせます。それは「○○さえなければ」「○○さえなくなれば」という発想です。
これって実感がありますよね。ストレスに直面して、そのストレスの発生源を除去したくなる。誰でも思い当たる節があると思います。
その倫理的な正否はともかく、そのような能力を手に入れたらどうなるか。「私」はいつでも取り返しがつくけど、それができなくなったらどうなるのか、など、いろいろ想像もしてしまいました。
もう一回読んでみよう・・・うーん、やっぱりすごい物語だ・・・(ФωФ)
非常に読みやすいショートショートです。
わがままな妻の散らかし癖に悩まされる夫。鬱屈とした日々を送る彼が、ある日手に入れた不思議な力は……。
一読して、意味が分からないということはないと思います。でも所々で何かがひっかります。
まるで、石の裏にムカデでも潜んでいそうだけど姿は見えなくて、ざわざわと違和感だけがしているかのような……。
そのため何度も読み返して、隠れている真実がないかどうか確認したくなりました。
とても簡単なお話のようでいて、でも真実がよくわからなくて、「あれ?」っとなっています。
ミステリやホラーで使われる、いわゆる「○○できない○○○」を用いた仕掛けがあるのではと疑ったからです(ネタバレのため伏字です)
読了後に「消えたのは、どっちだ……」というキャッチコピーを見て、ぞぞっとしました。
上面だけ見ると、そんなに怖ろしい話ではありません。
子どもの頃に、ドラえもんの独裁者スイッチの話が怖ろしかった思い出があります。主人公の力にそれに近い怖さは感じました。ですが、この主人公はその力による大きな恩恵も受けており、決してバッドエンドというわけではありません。
よかったよかった……。
……なのかな?
この話はSFでありミステリでありホラー。ホラー?
そして「消えたのはどっちだ?」の文字……。
もしかしたら、もっと恐ろしいお話なのではないだろうかと、背中がぞくぞくしました。
とんでもなく怖ろしい想像をしたのですが、どうなのだろう。他の読者の方はどういった解釈をしたのだろう? 気になって仕方がないのです。
人によって解釈も異なり、さらにまた何度も読み返すうちに、違った想像ができる物語なのかもしれません。おもしろかった……!