第97話 えええええええええ!!!
マザーハーロット様は険しい表情で呟いた…
まあ…骸骨だから細かい表情の事は僕にも分からないが…
「な、なんでや…姐さん…アンタ…グラスが葡萄酒で満ちたら願いを叶えたるって言うたやないか…」
当然はしゃいでいたジーナの表情もすぐに変わってしまった…
「杯をよく見るのじゃ…」
「えっ…」
マザーハーロット様は祭壇の上に葡萄酒の杯を置いた…後少し…なみなみと注がれているとは確かに言えない…
「こ、こんなもんやで…こんなもんやないと…ちゃんと持って飲めへんやないか…
ええやん…姉ちゃん…これ位で…」
「それだと願いは叶わぬかも知れんぞ…」
「……!」
マザー・ハーロット様の発した一言で興奮していたジーナも言葉を失ってしまった。
「お主達は昔のバビロナを完全な形で復活させたいのであろう…?時間を全て巻き戻す事は不可能かも知れないが…お主達が失ってしまった時間は取り返せるやも知れん…
しかし…その為には完璧を期せねばならん…
中途半端なチャレンジはやめておいた方が良いのではないか…?」
僕はガックリと座り込んでしまったジーナの肩に
手を置いた…
「…と、殿…どないしよう…このままやったら…」
「ジーナ…何故…そんなに落ち込んでいるんだい?
さあ…次の式を始めようよ…」
「えっ…?殿…今…何て?」
その時、ジーナにビビッと電流のような感覚が走った…彼女に急に笑顔が戻る…
「…分かった!殿…!天才やなあ…もう一回式をやり直せば良いだけやん!そしたらウチがもう一回…」
「ダメじゃ…」
「えっ?」
「そなたはもう婚礼を挙げたではないか…
婚礼というものは全てを相手に委ねて相手の全てを
受け止める…覚悟を皆に披露するような儀式よ…
そんな軽い気持ちで行うと逆に葡萄酒が減ってしまうかもしれんぞ…」
「そんなあ…」ガックリと
「ええやんか…姐さん…後一回だけ…な!な!」
「ジーナ…無理は言っちゃダメだよ…」
僕は彼女を慰めようと歩み寄った…
「うわぁぁぁぁん!殿…どうしたらええんや…
ウチ…ウチ…」
「こら、お主…泣くでない!泣いても何も解決せんぞ…」
僕とジーナの側に実体化したヴァルが現れて彼女を慰めようとしてくれた…
「そうだよ…ジーナ…ヴァルの言うとおりだよ…
ところでヴァル…もう準備は出来たの?」
「は…?準備…?優也…お主何を言っておるのじゃ…わらわが何の…」
「そんなの決まってるじゃない!僕と君の婚礼の式だよ…嫌だなあ…」
「そ、そうか…わらわとお主の…
えっ!!!ええええええええええええ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます