第66話 カラカラカラカラ
僕達は空中庭園からゴルドさんやマサムネさんの
大変なのはラリーさんだった…
祝宴の用意をダイナ号に詰め込んでジュエラ、ソーディア、ミラールのコックや給仕達を連れて大忙しでバビロナ入りした…
船は大鳥居を抜けてすぐにバビロナに到着するとは言っても…
「おーい!そっち積み終わったかい?」
「下ごしらえの方、宜しく頼むよ…」
「ええっ!到着したら直ぐ祝宴を…そりゃあ大変だ!」
甲板から船倉にかけて食材、人、荷物が右往左往して大渋滞になる始末…
「全く…兄さんのワガママにも困ったもんだ…
今日という今日は堪忍袋の緒が切れたぞ…」
お義父さんもさすがに悪いと思ったのか、出迎えに行ってくださったのだが…
ラリーさんは一言も口を聞かずそっぽを向いていたとお義母さんが溜息を吐いておられた…僕とティナは苦笑いするしか無かった…
…ザバァーン……カコーン!
…ふう…やっぱりお風呂はいいよな…
ジーニャさんの計らいで祝宴までに疲れをゆっくり癒して欲しいという事で神殿の浴場を貸してもらえる事になった…
兵士の方々は人数が多い為、神殿の城下町にある
大衆浴場を開放して下さった…
ロジャー将軍と一緒に森に住んでいた方々もこれからは元の人間の姿になって城下町に住むらしい…
「…あははは…まて〜!」「またないよ〜!」
「こらこら!お風呂場で走っちゃダメだぞ…!
滑ってお尻を打っちゃうぞ〜!」
「はあい!」「パパ〜せなかあらってよ…!」
「分かった分かった…さあ…こっちにおいで!」
ミスとリルと広いお風呂…
色々あったけど…家族で入るお風呂が一番だよな!
カラカラカラカラ…
脱衣室からのドアが開く音がしてティナが顔を見せた…
「ミス…リル…さあ…上がりますよ…
後はパパにゆっくり入らせてあげて…」
「はあい!」「パパもはやくあがってね。いっしょにごはんたべようよ…!」
「ああ…もう少し入ったら行くよ…」
僕が両手で湯船の湯をすくって顔を洗ったその時、
カラカラカラカラ…
あれ?また脱衣室からの扉の音が…
「ダーリン…」
「ティ、ティナ!ど、どうしたの…?」
バスタオルを巻いたティナの姿…自分の妻だから
自宅では何度か目にしている筈なのに…
その美しさにドキドキが止まらない…
「うふふ…夫婦なんだからいいでしょ?
あなたと広いお風呂に一緒に入りたかったのよ…」
「ミ、ミスとリルは…?」
「ちゃんとお着替えしてお母様の所へ行ったわよ…」
「で、でも…ここ男湯だよ…!誰か入ってきたら…」
「その辺は大丈夫!男湯と女湯の札を替えてきたわ…そして〝ケガの治療中…絶対に入るべからず〟って貼り紙もね!」
「そ、そう…」
「大変な戦いだったわね…あなた…お疲れ様でした。」
ティナの言葉を聞いて…ああ…これでバビロナにもまた平和が戻ったんだと実感が湧いてきた…
「みんなのおかげだよ…でも一番苦しい時、君が…君の声が聞こえてきて乗り越えられたよ…
ティナ…本当にありがとう…」
プラティナのお風呂場の暑さで上気した頬に涙が伝う…
「ダーリン…絶対私を一人にしないでね…約束だよ!!」プラティナは優也の胸に飛び込んだ…
「ああ…僕も君とずっと一緒にいたいよ…
君を幸せにすると誓ったからね…」
「ダーリン…」
二人は口唇を重ねた…
カラカラカラカラ…
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