第89話 前室にて
それからすぐに僕達はマザー・ハーロット様にお願いして婚礼の準備をする時間を頂戴した。
そしてジーニャは空中庭園の中の他にある部屋に僕達を案内してくれた…
「ここをお使い下さい…」
僕とティナは同じ部屋で…あとの花嫁さん達は個別に部屋を取ってもらったようだ。
「えへへ…私達、夫婦だから一緒の部屋だよね…
当たり前なんだけど嬉しいわ…」
ティナは満面の笑みを浮かべて僕の身体を抱きしめてきた…
「そりゃ勿論だけど…僕は君に着替えさせて貰わないと衣装も出せないからね…」
「ようし!ダーリンをとびきりカッコいいタキシード姿にしないとね…」
指をパチンと鳴らすティナ…一瞬で僕の姿は胸に白いバラのコサージュを付けた同じ色の…白いタキシード姿に変わった…
「わあ…ダーリン…やっぱり素敵よ…」
「ありがとう…ティナ…愛してるよ…」
「私もよ…ダーリン…」
僕達は口唇を重ねた…
「君も…着替えなきゃ…ティナ…
君のウェディング・ドレス姿を見るのはこれで三度目だね…いつも綺麗だけど、とびきり美しい君を三回も見れるなんて…僕は幸せ者だね…」
「ダーリン…ダーリンの為に私…ずっと綺麗でいられるよう…頑張ります…ずっと私の側にいてね…」
もう一度…指をパチンと鳴らすティナ…
ピンクのバラのコサージュを付けた可愛いティナの…同じピンク色のウェディング・ドレス姿を見るのは初めてで僕はその美しさに言葉を失った…
「ダーリン…どうしたの?」
「綺麗だ…僕の白いタキシードまで君のドレスの色に染められてしまいそうな位、僕の心は君の事で一杯だよ…」
「まあ…うふふふ…あなた…大好きよ…」
「僕もだ…ティナ…」
僕達が二度目のくちづけをした…その時…
「おーい!婿殿…ご注文の品を届けに来たぞ…」
「きゃっ!」
「お、お義父さん…」
ティナは頰を膨らませて…
「もう…ノックぐらいしてよね…お父様…」
「すまん、すまん…しかし…お前達はいつまでも仲が良いのう…まるで前世からの恋人のような…」
「嫌だわ…でも私もそう思う時があるの…
ダーリンはずっと私の旦那様…今も昔も…」
「…ティナ…」
僕はティナのその言葉を一生忘れないだろう。
「さあ…バビロナの為に…頑張ろう…ティナ…」
「ええ…ダーリン…でも…他の花嫁さんによそ見しちゃダメよ…」
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