第41話 涙を流す石像
優しくヴァルプルギスを抱きしめる優也を涙を浮かべて見守るプラティナ…
ゴルドはプラティナの肩に手を置いた。
黙って微笑み合う二人…
その時優也はずっと気になっていたある事を思い出した…
「ヴァル…ジーナは…?」
ヴァルプルギスは優也の方に向き直り
「…あやつはの…まだ子供っぽいじゃじゃ馬かと思うておったが…なかなかの女じゃて…」
「ま、まさか…」
「そのまさかよ…ジュエラにお主を連れて帰った後、こんな事になったのは自分の責任…
もう迷惑はかけないと言って皆に頭を下げてバビロナへと戻っていったわ…
いや…戻っていったという表情では無かった…
これから
「い、いけない…彼女を止めないと…」
「優也…お主はこんな目に遭ってもバビロナに関わるつもりか…?」
「…勿論、内政干渉みたいな真似はするつもりはないよ…でもジーナのあの目…明るく振る舞う事で誤魔化しているけど…心に深い悲しみを持っている…僕はただバビロナでお姉さんと幸せに暮らして欲しいだけなんだ…」
ヴァルプルギスは困ったように笑い、「やれやれ…お主の優しさにもほとほと参ったわ…
しかしの…わらわはそこに惚れてしまったのだから仕方がないのう…
それに…」
優也が振り返るとプラティナ、ナギ、アイが
微笑みかけながら立っていた…
「私が二度とダーリンを酷い目に遭わせないわ…」
「回復はいつでも万全ですわよ…」
「未来眼をナメたらどうなるか…思い知らせてあげるわ…」
そして三人から伝説の三人の魔女が実態化して側に現れた…ダイナ、エクス、パルテの三魔女はヴァルプルギスの前に跪いた…
「おひい様…我々は永らくおひい様の強大な
魔力に惚れて側に居させて頂いております…
しかし…今、ヴァルプルガ様とご一緒になられた事であらゆる魔術と桁外れな魔法力を得られた事に正直震えが止まりません…この方について来て良かった…我々はおひい様と共にこれからもずっと一緒に参らせて頂きます…」
そう言って頭を下げた三人にヴァルは…
「仕方がないのう…遅れんようについて参れよ…」
と笑顔で嬉しそうに叫んだ…
バビロナの神殿の玉座の間…そこの真ん中に
一つの石像があった…
その像は可愛い娘の姿を模していて、目から頰を伝う涙…振り上げた短剣…怒りの形相…細部まで綺麗に表現されていた…
そしてその短剣の装飾の青い宝石だけが光の入らない真っ暗な玉座の間で青白くボンヤリとした光を放っていた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます