第62話 追いかけっこ

「全く…あやつらめ…これではレガシーの大安売りではないか…ジュエラではわらわと優也位しか使い手はおらんと言うに…


流石は忘れ去られた国…魔法の源流というものが色濃く受け継がれておるんじゃのう…


バビロナという国はわらわにも影響を…自分自身をもう一度鍛え直すきっかけになるやも知れんな…」





ヴァルプルギスがバビロナの魔法に想いを馳せていると…


「ヴァル…大変だ!コッカトリスの呪いで…」


「何じゃと…?」



優也の言葉に振り返るヴァルプルギス…


「ギャギャギャギャギャ…!」


嘴を斬られたコッカトリスは手負いの状態で毒を吐き出し目から石化の光線を出して暴れていた。



そして吐き出した毒からはまたバジリスク・ゾンビがこの世に蘇ってくる…


「レーヴァ殿!」「ロジャー殿!行きましょう!」

戦況を見つめていた



「ちいっ!本当に面倒くさいヤツを召喚してくれたもんじゃのう…


これではわらわは今回ずっと癒術師ヒーラー役ではないか!


史上最強の魔女がヒーラーなどと…宝の持ち腐れじゃの…」


ぶつぶつ文句を言いながらヴァルプルギスはヴァルプルガモードに変わった…



「ダーリン!」


ほうきに跨ったティナが僕の側に来た。


「…私達が奴を誘導するわ!」


ナギさんと愛ちゃんもほうきに跨ったまま、側にやって来て…僕の顔を見て頷いた。



「優也くん!」



愛ちゃんは僕の左腕を見つめて合図した…

僕は大きく頷く…


三人はコッカトリスの前に回り込んでイミテに向かって叫んだ…



「ほーら…キモ男くん!早く私達を石にして見なさいよ…」


そう言ってティナはほうきをギュッと握り締めて飛び立った…


「うふふふふ…」「おーにさん…こーちら!」


ナギさんも愛ちゃんも同じ様に地面を蹴って飛び上がった。



「ぬぬぬぬ…誰からでも良いぞ…コッカトリス…ボクちゃんをバカにするやつは望み通り石にしてやれ!」


ヒュン…!


超スピードでティナ達を追うコッカトリス。




マズい…急いで追いかけないと…


え…と…魔法のじゅうたんは…?


ヒュン…!


頭の中で思い浮かべると僕の前にじゅうたんが現れた…


急いで飛び乗ると頭の中からジーニャの声が…


「…優也様…魔法のじゅうたんは操る者の魔力に

応じたスピードになります。お気をつけて…」


と、とにかく…奴を追いかけないと…


僕はじゅうたんに強く念じた。


ヒュン…!  …わわっ!


振り落とされそうな勢いでじゅうたんは飛び出した…


じゅうたんの縁を強く握る…向かい風が強くて息苦しくて目を開けていられない…



「アクセル!」



…あれ…?僕はゆっくりと目を開いた…


頰を風がかすめて…服も風になびいてはいるけど…


僕はゆっくり立ち上がった…


「うふふ…殿…これやったら魔法のじゅうたんについて行けるやろ…?」




「ちょっと…ジーナ…魔法力の無駄使いはやめなさいよ…私達の魔法力が減れば…それはイコール優也様の魔法力が減るのよ…」




「ええやん…ウチは殿に楽に闘ってもらいたいんやから…」









あの…頭の中でケンカしないで…

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