第19話 金色に輝くジーナ

「ジーナ!!何を言ってるんだ!君は何の為にここまで頑張って来たんだ…家族を助ける為、姉さんを助ける為じゃ無かったのか…!!



諦めるなんて絶対にダメだよ!僕が君を守るから…」



「…殿…」




その時頭の中に声が響き渡った…



「全く…何をやっておる!優也よ…お前の守護英霊は誰だと思っておるのじゃ…」


「ヴァル…」



「わらわの得意魔法は知っておるじゃろう…さあ…陸地までブッ飛ばしてやれ…おっと!ブレーキを忘れるで無いぞ…」



「分かった!ありがとう!」



「…殿…どうしはったん?」



ヴァルとの会話が聞こえていなかったジーナさんは不思議そうに僕の顔をじっと見つめていた。




「ジーナさん…じゅうたんの端を思いっきり握って離さないでね!」



「は…はい!」





「ヴァルプルギスモード!」



優也は白いタキシード姿に変身した…



「しっかり掴まってろよ…いいな?」


ジーナは頷きながら優也の吸い込まれそうな紅い瞳を見て驚いた…



「あ、紅い…ブラッドムーンの瞳…さっきまでの優しい殿と違う…ワイルドで尖ったナイフのような雰囲気…このひと…一体、いくつの顔を持ってるんだろう…?」




優也は両手を突き出して叫んだ…



「…サイクロォォォォ!!」




優也の両手から猛烈な風の渦が飛び出した…




その勢いで魔法のじゅうたんは推進力を得て

水面に水しぶきを上げながらもの凄いスピードで陸地の方へと向かった…





「きゃあぁぁぁぁ…」





あっと言う間に陸地に到着する勢いのじゅうたんに今度は前に向かって加減をして極大風属性呪文レガシーを放つ…



「もう一度!!サイクロォォォォ!!」



ブレーキがかかったじゅうたんだったが…「ドーン!!」白い砂浜にぶつかるように着地して数メートル、僕とジーナさんは投げ出される形となった。



「痛てててて…」




通常の状態に戻った僕はダメージを受けつつ、ジーナさんの姿を探して辺りを見回した…



しかし何処にも彼女の姿は無かった。




「…殿…」



突然、背後うしろからジーナさんの声がした。振り返ると薄っすらと金色に輝く彼女が立っていた…


「あれ…?」



目をこすってパチクリさせた僕がもう一度ジーナさんを見るといつもの可愛い彼女だった。



「見間違いかな…?」




ジーナさんはまたいきなり僕の身体に手を回してギュッと抱きしめてきた…



「ちょっ…ジーナさん…」



「嫌やわ…殿…さっきはジーナって呼び捨てにしてくれはったやん!良いんよ…ウチの旦那様なんやからね…」



「あ、あれは…とにかく怪我は無かったんだね?」




「はい!…殿に守ってもらったから…」

そう言って彼女はとろけるような笑顔を浮かべた…



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