ウエストタウン防衛戦

 Side ウエストタウン代表者 ジェイク


『クソ!! 野盗連中どもが!! うじゃうじゃ湧きやがって!!』


 俺は白黒で無骨感溢れる(角張っているとも言う)、頭部が戦車のハッチのようなパワーローダー「シャーマン」で戦う。


 敵の数が多い。


 ざっと見て30はいる。

 武器もパワーローダーや武装車両で固めている。

 

 野盗連中どこでこんな戦力を手に入れやがった。

 

 こっちはせいぜい十数人。

 武器もバラバラ。

 このままでは押し切られる。


 そんな時だった。


『なんだあのパワーローダーは!?』


 見た事もない銀色のパワーローダーが相手の攻撃を物ともせず、次々と敵を粉砕している。


『ジェイク!? 後ろにトラック、さらに飛行ドローンに戦闘ロボットを確認!?』


『なんだと!?』


 こんなタイミングで援軍。

 しかもお連れはトラックにロボット達と来た。

 交渉云々とかそう言う単語が頭を過ぎるが、そう言うのは生き残ってからだ。



 Side レベッカ


『最高にご機嫌だぜこいつは!!』

 

 私は興奮していた。

 これがピカピカの最新モデルのパワーローダー。

 パワーローダーを身につけて自慢したくなる奴の気持ちが分かった。

 

『なんだアイツは!?』


「とにかく打ち落とせ!!」


 まるで自分自身が無敵になったかのような快感。

 鈍重な外観からは想像も出来ないぐらいに体が軽い。

 背中に羽がついているようだ。


「は、早い!?」


『なんなんだアイツは!?』


 空中を飛び回り、敵の攻撃を避けながらドカン、ドカンと大型キャノン砲で野盗を吹っ飛ばしていく。

 パワーローダーだろうか武装車両だろうが一撃で粉砕。

 自分でも信じられなかった。


 この世界では野盗は死の象徴だった。


 だが今はどうだ。


 まるで虫けらの如く踏みつぶせる。


 セントリーポッドや浮遊ドローンの援護もいい。


 これならそう時間も掛からずに敵を掃討できるだろう。



 Side 野盗のリーダー ザギャ


 苦労して集めた俺の兵隊が潰されていく。

 突然現れた謎の連中や銀色のパワーローダーのせいだ。


 次々と兵隊が蜂の巣に。


 あるいはミンチにされてゆく。


 気がつけば半数近くがやられていた。


「くそ!? どこの連中だ!? どこから現れやがった!?」


「それよりもお頭!! このままじゃヤバイですぜ」

 

 乗ってる車両の運転席の子分の言う通りこのままじゃ全滅だ。

 世の中には引き時って奴がある。


「退くぞ!! このカリは必ず返す!!」


 俺は撤退指示を出した。



 Side 三枝 ユキノ


 正直自分はトラックの物陰からデタラメに武器を銃弾が飛んでくる方向に乱射しているだけで終わった。

 ちゃんと当たっているかどうかも分からない。

 

「ユキノさん、敵は撤退したようです」


 アイが駆け寄って来てその事を知らせてくれた。


「そ、そうなのか?」


 ホッとしたがすぐに自己嫌悪感に包まれる。


「何も出来なかった・・・・・・」


「無理もないです。遂先日まで銃も握ったこともない人間だったんですから」


「それはそうなんだけど・・・・・・」


 アイに慰められたが、だけど男としてそれってどうなのって言う気持ちになってしまう。


「当初の目的通りウエストタウンに入りましょう。相手方も此方を無碍には扱わないと思いますし」


「う、うん」


 アイに促されるようにウエストタウンへと入ることにした。

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