不穏な影

 Side 三枝 ユキノ


 開拓作業も一段落したのでウエストタウンへ。

 

 レベッカ達を残してアイと護衛の無人兵器達と一緒に向かう形だ。


 以前も見たが活気づいて来ていてこれが本来のウエストタウンの姿なんだろうと思う。 


 見て回りたい気持ちはあるがウエストタウンの代表者、ジェイクさんのところへ向かう。


 近況報告も兼ねているが最近多発している野盗の襲撃について話し合う事になった。



 ジェイクさんがいるウエストタウン代表者の建物のオフィスで話し合う事になった。


 俺の傍にはアイもいる。


「支配者がいなくなったのを良いことに他の地域から野盗連中が流れ込んできているんだろう――それにしては作為的な物を感じるが・・・・・・」


 ジェイクさんも同じようになにか作為的な物を感じていたようだ。


 それだけでなく、「前回の野盗の大規模襲撃の時から気になっていた」と話してこう続けた。


「野盗にしては装備が充実し過ぎていた。てっきり放棄された軍事基地から仕入れた物だと思っていたが・・・・・・」


「世界がこうなってからどれぐらいの月日が経過しているか分かりませんけど、とっくに誰かが手に入れてそうなもんですよね」


 ジェイクさんの言いたい事を引き継ぐように俺は自分の考えを述べた。

  

「そうだ。戦車といい、所有していたパワーローダーといい、ただの野盗の装備にしては良すぎている――そこで俺はある噂を思い出した」


「噂ですか?」


 アイが疑問をぶつけた。


「ああ――前大戦を生き延びた連中が今も活動していて、この世界で理想郷を誕生させるために暗躍していると言う噂話だ」


「そんな連中が?」


 一気に話がきな臭くなって来た。


「もちろん噂だ。確証はない。だが偶然もここまで続けば何かしらの勢力が動いていると考えてもいいだろう」


「確かに・・・・・・」


 都市伝説のような連中の実在はともかく野盗の背後に何かがいる線は確かだ。

 一体何者だ?


「ここはアンデッドやオーガ、ミュータントなどの大型生物はいない平和な地域だった。だからこそ色んな奴がこの土地に向かってくる――ままならんな」


 そう言ってテーブルに置いてあった水を飲む。


「・・・・・・ともかく此方の方でも調べてみよう。そちらでも何か分かったら報告してくれ」


「はい」


「分かりました。偵察ドローンなどの偵察範囲を拡大させてみます」


 こうして今回の話し合いは終わった。

 不穏な雰囲気を残してはいるが。



 帰りの道中。

 トラックの座席。

 アイに運転を任せながら色々と話し合った。


「ジェイクさんの話、どう思いますか?」

 

 アイが尋ねる。


「都市伝説みたいな連中はともかく背後に何かいるのは確かだと思う」


「ウエストタウンだけでなく、他の町にも行ってみるのもいいかも知れませんね」


「シェルターからあまり離れたくないけど、そうも言ってられないのかな?」

 

「黒幕がいるとして、今は相手の出方を待つしかないでしょう」



 Side ???


 まさかザギャの連中がしくじるとは。

 

 武器商人に偽装してあんだけ売りつけてやったのに。


 あのシェルターのイレギュラーのせいだ。


 野盗をあの手この手で嗾けたがどいつもこいつも役立たずだ。


 正直気が乗らないが手持ちの戦力をぶつけるか――


 

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