散策

 Side 三枝 ユキノ


 Dー01など様々なロボットが清掃活動―汚物は消毒的な世紀末方式だが――をして害獣を焼き払っていた。


 この世界のロボット恐い。


 それはそうと俺はレベッカから渡された銃――ボロボロでそこら辺に落ちている素材から自作して作りましたな粗悪な銃を渡された。


 レベッカ曰く「ぶっ殺して奪い取った」、「あまり使わないから礼代わりにやる」、「何があっても肌身離さず持っておけ」、「強力な銃よりも扱いやすいこの銃の方がいい」とのことだ。


 それとバットもプレゼントされた。

 基本はバット、余程の緊急時に限り銃を使えとのことだ。

 これで町中歩いてたら即効で職質されるなと思いつつアンドロイド少女の後を追う。


 道中、巨大化したGとか出てくるが基本はレベッカさんや復旧した警備システム(レーザー砲台)にロボットが対処してくれる。


 Gも恐いが味方も恐い


 ともかく目的であるパワーローダーの格納庫に辿り着いた。


「すっげえ!! これだけでも一財産だぞ!?」


 レベッカの言う通り、まだこの世界の人間でも全然詳しくない自分でもそう思えた。広大な空間に様々なパワードスーツが置かれており、道中にも武器庫などもあった。


 どうやらここは相当大規模な施設だったようだ。

 

 そのせいなのか白骨死体が彼方此方に転がっていたり何が起きたのか荒らされていたり――スクラップになったロボットやらパワーローダーとか転がっていたが。


 この広大なパワードスーツ・・・・・・パワーローダー置き場も荒れていた。


 最初は驚いてレベッカに「これで驚いてたらこの先やっていけないぞ」と呆れられた。

 しかたねえだろ。

 遂さっきまで平和な世界でニートやってたんだから。


「これだけの蓄えがあればしばらくここを拠点にするのもありだな・・・・・・」


「住むの?」


「まあな。これでも一応は目的あって旅している身だし・・・・・・」


「目的?」


「復讐さ」


 と、レベッカは言った。


 

 何でも赤髪の少女レベッカは元々はシェルター暮らしと呼ばれる、この世界では恵まれた環境で産まれ育ったらしい。 


 しかしある時、シェルターは襲撃され、レベッカは運良く逃れて馴れない――いっそあのままシェルターで死んでおけば良かったと思えるような外での暮らしに晒されるハメになったのだそうだ。


 最初は復讐を原動力にして外の世界を生き抜いたらしいが、過酷な外の世界はそれを許さずに生きる事を第一に生活しなければならなかったそうだ。



「とまあそんな感じだ。復讐と言っても、相手が誰かも分からない。せめてシェルターがどうなったかぐらいかは確認したいんだ。出来ればこの手で取り戻すぐらいのことはしたい」

 

 復讐心は確かにあるが言う程、復讐に固執はしてないようにも思える。

 それ程までに外の世界は過酷だったのだろう。


「それはそうと――あったあった。こいつがF6、戦前の最後のパワーローダーか」


 そう言って様々なパワーローダーの中でF6と呼ばれる銀色のパワーローダーに駆け寄った。


 奥行きがある頭部で横長のカメラ。

 ショルダーアーマーを含めた肩幅の広さ。

 無骨で大柄、足も腕も太く、中世の騎士を連想させてヒロイックさとは真逆な印象を与える。

 

「これがF6なの?」


 俺は隣にいたアンドロイド少女に尋ねた。


「はい。またの名をベルセルクです。戦前のアメリカが開発した恐らく最後の量産型パワーローダーです」 

 

 と、丁寧にアンドロイド少女は答えた。


「Fシリーズの他にも様々なパワーローダーがあります」


「それはそうと何でこのシェルターは骸骨やら残骸やら・・・・・・仲間割れでも起きたのか?」


「そこは分かりませんが恐くは三枝さんの言うとおりなのでしょう」


 身内同士の仲間割れか。

 それが戦前に起きたのか、世界が核の炎にでも包まれた後なのかは分からない。

 アンドロイドの少女は寂しそうな顔をした。 


「そんな事よりこれからどうするかだろ? ここから少し離れた場所に町があるからそこで売れそうなもん売ればいい。何をやるにしても水とメシだ。」


 と、レベッカは言った。

 空気読まない感じではあるが確かにとも思う。

 ここで過去の事をあれこれ言っても始まらない。

 これからの事を考えて行動するのが健全であるように俺は思えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る