お出かけ

 Side 三枝 ユキノ


 俺とアイ、レベッカとでお出かけの準備をする事になった。

 乗り物は軍の輸送トラックである。

 

 古ぼけた、荷台を積んだバイクがレベッカのバイクだろう。

 

 操縦はアイが担当。

 レベッカと俺は荷台であり、そこに売り物になりそうな物を沢山積み込む。

 中には水が入った容器すら持ち込んでいた。


 曰く、売れる物は何でも売って金にする。

 らしい。

 

 出来るなら農業もしたいとかあれこれ色々と語っていた。


「で? パワーローダーも売るの?」


「パワーローダーは万が一のためって奴だ」


 パワーローダー。

 Fー6ベルセルク。

 先程までレベッカはそれの装着訓練を行っていた。

 

 動画サイトや掲示板にもあげたりしてまたまた大反響を呼んだ。


「こいつさえあれば並の野盗なんて一捻りさ」


「はあ」


 とのことだ。

 正直ついて言っていいのか分からなかったが、ここでついていかなければダメな雰囲気だったのでおそるおそるついていった。



「はあー軍用のセントリーロボットと浮遊ドローンの護衛とは豪勢だな。これパワーローダーいらんないんじゃないのか?」


「そ、そうですか?」


 レベッカの言う通りシェルターの入り口からずっと大きな緑色の四脚のロボットや浮遊して銃をぶら下げた円盤メカが付いてきている。


「基本一人旅が当たり前だったからな。女の一人旅は危険が多いのさ・・・・・・その事を話したら嘘付けと言われるか、よく生きてられたなとか――大体二つのパターンなんだ」


「はあ・・・・・・」


「まあお前はもうちょい警戒心って奴を磨いた方がいいな。あのアンドロイドはともかく」


「アイのことですか?」


「確か掲示板とか言うお前の世界の住民とやらが名付けたんだっけか? 平和なんだなおい・・・・・・まあ私もシェルター暮らしだったからあんまどうこう言えないけど」


「う、うん」


「それよりも自分の事とか何か話せないのか? お前ずっと頷いてばっかじぇねえか」


「って言われても・・・・・・」


 何を話せばいいのやら・・・・・・


「言っとくがそんな受け身な態度じゃこの先生きていけないぞ?」


「は、はあ・・・・・・」


「ダメだこりゃ。全然分かってねえ」


 呆れられてしまった。

 それにしても外の景色は現代文明の名残はある。

 路面状態は最悪だ。

 道路をひび割れていて荒野が続いている。


 彼方此方に横転した車や白骨死体などが転がっている。

 

(本当に滅んだ世界なんだな)


 そう思ってしまった。


「助けて、お父さん、お母さーん!!」


 と、子供の声が聞こえる。

 声からして女の子だ。

 

 車を停車させる。

 レベッカはレーザーライフルを構えて車から飛び出した。


 俺も慌てて続く。


「アイ!! その子供に近付くな!!」


 見るとアイがボロ切れを身に纏った子供に近付こうとしていた。

 ツインテールの黒髪の少女はボロボロ。

 アイは近づき、レベッカはあろうことかレーザーライフルを子供に向けて発砲した。


「なにしてるんだ!?」


 俺は慌てて声をあげた。


「野盗どもの常套手段だ!!」


「え――」


 ツインテールの黒髪の少女は脱兎の如く逃げだし、両サイドの木々から周りを取り囲むように野盗の一団が姿を現した。


 

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