掲示板の住民に新情報をお知らせした。


 Side 三枝 ユキノ


(うわ・・・・・・凄いことになってるな・・・・・・)


 掲示板を見てみると祭り状態になっていた。(炎上ともいうかも知れない)

 スレ数の消費が激しく、個人情報のあれこれが飛び交っている。


 するとスマフォが鳴り響く。

 相手は姉貴(結婚済み)のミユキだ。

 俺はおそるおそる電話に出る。


『ちょっと聞こえる!? 本当にユキノなのよね!? 何がどうなってるの!?』


「あの、その姉ちゃん・・・・・・」


『突然マスコミやら警察やらが電話が掛かってきてもう何が何だが・・・・・・てか家転移してるのにどうして電話届くの!? そこどこなの!?』


「それは自分が知りたいというか・・・・・・」


 勢いよく質問を捲し立てるので言葉を返す暇がない。

 傍にいたアンドロイド少女が「ちょっとお借りしていいですか?」と言ってきたのでスマフォを貸し与える。


「どうもお電話変わりました。今三枝 ユキノさんがいる施設にいる代表を務めさせていただいているアンドロイドです」


『はあ? アンドロイド? そう言う冗談聞く気分じゃないんだけど――』


「ともかくある程度こちら側からも情報を提供しますんで――それでどうにか落ち着いていただければと」


『あーもうワケ分からない。そもそもどうしてウチなのよ!? そりゃニートやってて内心疎ましく思った事もあるけど、だからって拉致してもいいってわけじゃ・・・・・・ともかく事と次第によっちゃぁ警察に被害届出すわよ!?』


 なんだか姉の言い分を聞いて複雑な気持ちになった。

 

 アンドロイドの少女はマイペースに「たぶん警察? と言うそちらの日本の警備機構にそう言う届けを出しても無理だと思うんですけど・・・・・・」


 と、困ったように言った。


『ああもう。ともかく出ること出るからね!? 覚悟はいいわね!?』


 そう言ってガチャッと一方的に切れた。


「ここ一応別世界・・・・・・なんだよな?」


『はい』


 あんな犬サイズのでかいゴキブリやら光線銃とかロボットとか見たりもした。

 もしかしてまだ「地球のどっかにある秘境に科学実験で飛ばされてきた」と言う可能性も捨てきれないが――


 ともかく掲示板の住民に報告することにした。



 751:三枝 ユキノ


 お帰り――


 754:名無しさん


 あ、帰ってきた!?


 756:名無しさん


 ただいま!!


 758:名無しさん


 なんかわかった? やっぱり拉致?


 (以降しばらくお帰りコールが続く)


 13:三枝 ユキノ


 まだはっきりと分かっていないけど、まあちょっと画像見てからな。


 グロ注意なのもあるから。


 グロ注意→(*画像のアドレス)


 ロボット(*画像のアドレス)


 自称アンドロイド少女(*画像のアドレス)


 現地住民(*画像のアドレス)


 14:名無しさん


 うげー!?


 巨大なGがぁああああああああああああ!! 


 16:名無しさん


 ぎゃあああ!!


 17:名無しさん


 天使もいるけどなんだこりゃぁあああああああああああ!?


 18:名無しさん


 Gが! Gがいる!!


 29:名無しさん


 もしかしてFall○utの世界に転移・・・・・・


 50:名無しさん


 異世界物ならせめてゴブリンの画像で・・・・・・


(*しばらくGの話題が続きます)


 300:名無しさん


 だけどロボットに天使に美少女傭兵ってなに?

 なんかの映画の宣伝?

 やらせ?


 301:名無しさん


 それにしても画像リアルだな。

 どれだけ写真を加工した?

 

 310:名無しさん 


 シロウトには分からん。

 <写真の加工。


 311:名無しさん

  

 専門家の出番だ。

 

 312:現地取材班


 どうも現地取材班です。

 

 たまたま近隣住民にいただけで報道とかその手の関係者じゃないよ。


 314:名無しさん


 お、なんか面白そうなコテハン来た。


 315:名無しさん


 情報プリーズ。


 320::現地取材班


(画像のURL×複数)

  

 三枝 ユキノ氏は人の野次馬だらけで警察だけでなくマスコミもどんどん集まってきてその辺に来た人へ手当たり次第に取材している感じ。

 

 自分も三枝さんの自宅昨日も見たんだけど、今日見た時は無くなってた。


 325:名無しさん


 なんかとんでもなく大事になってきてるな。


 326:名無しさん


 小説家になろうでこう言う小説あったな。

 ニートが異世界に自宅もろとも転移して、掲示板に書き込んでスローペースで物語が展開していく奴。


 一番の違いはあっちはファンタジー世界でこっちはポストアポカリプスっぽいってことかな。


 327:自衛官ニキ


 どうも現職の自衛隊です。


 329:名無しさん


 なんか現職の自衛隊まで来た!?


 330:名無しさん


 329>落ち着け、まだ分からん。


 331:自衛官ニキ


 詳しいことは言えないけどこっちもその話題一色。

 上官達もなにやらそれで話し込んでた。


 333:名無しさん


 自衛官ニキ>


 つってもそれが自衛隊とどう繋がるんだ?


 335:自衛官ニキ


 分からんが十中八九、三枝氏のことだな。

 立場上あんまり言えないけど、この騒動でどうこう言ってくる人達がいるからさ。


 336:名無しさん


 ああ、察したわ。


 337:名無しさん


 軍靴の音が響いて来るんですね。


 350:カメコさん


 画像の女の子達調べてみたんだけど心当たりないな。

 

 あれだけ綺麗なら今の時代SNSとかで少しは話題になっている筈だ。

 赤髪の女の子だってあれがコスプレだったらとんでもなく気合入っている。

 

 これ以上の事は分からん。


 それと画像の加工だけど、恐らくスマフォで撮ったんだろう。

 加工した形跡がパッと見、見当たらない。

 人物やロボット、Gの画像もそうだ。

 

 これが加工なら三枝さん凄いプロだよ。

 独学でこれぐらい出来るんなら何かしらの形で有名になってるはずだよ。


 352:名無しさん


 ありがとうカメコさん!!


 353:名無しさん


 カメ子さん感謝!!


 400:三枝 ユキノ


 あの・・・・・・そろそろ話続けてもいいかな?


 403:名無しさん


 ああ、どうぞどうぞ


 404:名無しさん


 やっぱりFall○utな世界なの?

 

 405:名無しさん


 手の込んだベ○スタの次回作の宣伝かもしれんぞ。


 410:三枝 ユキノ


 Fall○utw


 正直自分では判断つかないけどね。


 外の様子とかまだ見てないし。


 でもレベッカさんが言うには核戦争で文明が崩壊してどうこうとか言ってたから強ち間違いじゃないかな?

 

 あ、レベッカさんって言うのは赤髪の女性の人ね?


 415:名無しさん


 悲報。


 やはりFall○ut世界だった。


 420:現地取材班


 ちょっと待って、それ大丈夫!?

 放射能とか放射線とかそう言うの!?


 421:名無しさん


 だよな!?


 423:名無しさん


 ヘタすればあの巨大ゴッキーがこの世界に来て大量繁殖――


 425:名無しさん


 いやだぁああああああああああああああ!?


 430:名無しさん


 冗談抜きで世界の危機じゃねえか!?


 431:名無しさん


 こわ!?


 まじでこわ!?


 432:名無しさん


 現地取材班、退避しろ!?


 450:三枝 ユキノ


 あ、その。


 なんていうか分からないけど、ここ一応核シェルターとしての役割も担ってるから施設内に放射能とか放射線の汚染はないんだって。


 460:福島の人


 日本人が2011年の大災害で何も進歩してなかったのがこの掲示板みてよく分かったよ。


 そっちの外の世界はまだまだ荒廃しているかもだけどな。


 少なくとも三枝さんの言う通りだ。


 461:名無しさん


 福島の人>そ、そうなの?


 465:福島の人


 これでも福島の人間だからな。

 今でもそれで風評被害って奴を味わってる。

 

 福島原発の除洗作業は大分進んでて、手続き踏んでゴーグルとマスク付ければ原発の敷地内にも入れるぞ。


 あと、お約束だけど――放射能汚染や被爆は感染病じゃないからな。


 470:名無しさん


 福島今そうなってるのか。


 知らなかった。


 495:福島の人


 で、本題に戻るけど。


 核兵器で国が焦土と化し、放射能で着弾箇所は焦土と化し、放射能で周囲が汚染されるわけだ。


 外の世界がどうなってるか分からないし、我々が知る核ミサイルとは違う性質の物質を持っているプルトニウムが使われている可能性もあるが・・・・・・


 少なくとも元原発跡地とか核ミサイルの着弾箇所とかの近くをうろつかん限りは放射能や放射線で汚染される心配はない。


 水や食料などの根本的な解決はしてないけどな。


 500:三枝 ユキノ


 福島の人さん、どうもありがとうございます。 


 503:福島の人


 三枝さん>ちょっと掲示板見てたらむかっ腹たっただけだ。気にするな。


 とりあえず現地は大丈夫だろう。


 なんならガイガーカウンターでも持って行って検査すればいい。


 だけど現地の近くにいる人達は災難だな。


 絶対、いわれ無き迫害受けるぜ。


 504:名無しさん


 あっ(察し)


 505:名無しさん


 そ、そだね・・・・・・


 506:福島の人


 一番恐いのはやっぱ人間だよ。


 無知な人間ほど行動力があるから始末におえない。



「なんか福島の人のせいで掲示板の雰囲気がシリアスになったな・・・・・・」


「そうですね」


 予想の斜め上を行く展開だ。

 すると階段から誰か――恐らくレベッカが上がってきた。


「おい、服ないか?」


 と、ノックせず部屋に入ってきたレベッカ。

 バスタオル姿で鍛えられた体を晒す、温かく良い香りを放つレベッカがいた。

 俺は顔を真っ赤にして顔を手で塞ぎ。


 レベッカは「子供みたいだなおまえ!」と爆笑された。


 アンドロイドの少女だけは不思議そうに何故か首を捻っていた。

 

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