サイド・レベッカ

 Side レベッカ


 正直言うと複雑だ。


 今の生活は悪くない。


 けれどもこのままでいいのかとも思う時もある。


 前々から生活が落ち着いたらシェルターがどうなったのかは確認したいとは思っていた。


 だがそんな考えは甘く、その日暮らしの過酷な毎日でその目的も忘れ去っていた矢先に落ち着ける目処がついた。


 しかし一人で行くのは心細い。


 この荒れ果てた外の世界を旅をするのは一苦労。


 シェルターで呑気に外の世界を見てみたいなんて夢見がちに思っていた時期が馬鹿みたいだ。


 それに装備の問題もあるし、物理的な数の問題もある。


 四六時中ベルセルクを身に纏って一人旅をするのはキツイ。


 運搬用のトレーラーとかも必要だ。


 シェルターに辿り着くにはどうしてもユキノやアイの協力が必要になってくる。


 だがあいつらにはあいつらの生活もある。


 特にユキノはまだ右も左も分かってないような奴だ。


 それにとんでもないお人好しだ。


 正直あいつに関しての身の上話は理解が及ばない部分もあるが、立地条件と運が悪ければシェルター出て初日で死んでた可能性もある。


 ともかく動くにしてもウエストタウンの復興とシェルターの開拓は必要不可欠だ。


 だからウエストタウンから流れてきた連中に指示を飛ばしてガラにもない事をしている。


 ウエストタウンから流れてきたのは貧困層や、働き場所などを失った奴や身寄りのない子供など、人生崖っぷちの連中ばかり。

 

 働けば食事も水も寝床も手に入れられるので不満を言う奴はいないだろう。


 子供もとてもしっかりしているが、逆を言えばこの世界ではしっかりしてないと身寄りのない子供は生きていけないのだ。


 そうでなければ死ぬだけでそう言う子供だけが生き残ったのだ。


 その事にユキノの奴は気づいていないだろうな。


 あいつまだこの世界の事をまだ分かってないところあるし。


 だけどそんなユキノを羨ましく感じている。


 私の時とは大違いなのだから。


 私が出来なかったことをやってのけてる。


 他人に手を差し伸べると言う難しい事も平然と出来る。


 それがシェルターやアイの力によるものである事は分かっているが。


 それでも羨ましい。


 まるで正義の味方だ。


(・・・・・・ダメ元で相談してみるか)


 ふと、自分が元居たシェルターの事とかダメ元で相談してみようかと考えた。


 ユキノの善意に縋るようなやり方で正直私としてもどうかと思うがそれでもシェルターがどうなったかぐらいは確認したかった。


(だけど今はダメだな――)


 先も語ったがここの開拓とウエストタウンの復興もある。

 動くに動けない状況だ。


 ヘタに動けば野盗の餌になるだけだ。

 優れた移動手段があっても、ベルセルクがいくら強くても寝込みを襲われたらしまいだしな。

 

(どうして私はホッとしてるんだか・・・・・・)


 などと思いながらも私はあれこれ住民達に指示を飛ばす。

 幸いにしてパワーローダーの数も色々と揃っている。 

 労働だけでなく戦力としても期待できるだろう。


 ほんと、このシェルター様々だ。


 

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