この世界について

 Side 三枝 ユキノ


 シェルターの内部は想像以上に広い。

 時折何かの生物の死骸のような物が転がっている。

 

 そして何かス○ーウォーズに出てきそうな外観をしている緑色で一つ目の丸っこい人型ロボットが両腕からレーザーを発射して害獣を駆除していた。


『おや初めまして』


「はじめまして・・・・・・」


『名前は、防衛型戦闘用警備ロボット型、Dー01です』


「はあ・・・・・・」


 次はロボット?

 ロボットなの?

 こんな流暢な言葉を喋るロボットいんの?


『統括者様もご一緒なのをみるかぎり、コンタクトは成功のようですね』


「統括者様?」


 またワケの分からん単語が出た。


「ああそうか。この女、実はここを統括しているアンドロイドなんだわ」

 

 そう言って指をさす。

 長い水色髪の純白の人間離れした美少女がアンドロイド?


「嘘だろ!? 人間にしか――」


「まあそれが普通の反応だな。それも普通のアンドロイドと違って実質ここの責任者様なんだ」


「なんか何がなんだか・・・・・・」


 ワケが分からなくなってきた。

 

「とにかくそれをひっくるめて全部お話します」


 そうして応接室に案内された。


☆ 


 応接室にも何やらお掃除ロボット的なのが彼方此方いた。

 Dー01が「水をどうぞ」と言ってコップに水を入れて持ってきてくれた。


「やっぱシェルターはいいね。こうして綺麗な水が飲めるんだから」


「はあ?」


「お前本当になんなんだ? まあ私もシェルターから出る前は確かに水の有り難みなんてこれっぽっちも分からなかったけどさ――このシェルターに住んでるわけでもないし――本当に実験は成功したのか?」


「実験?」


 本当になんの話なんだ?


「そこから先は私が話します」


 と言ってアンドロイドらしい美少女がお話しをしてくれた。


 

 世界は核戦争によって滅んだらしい。


 このシェルターは核戦争を想定して作られた施設であると同時に、ある実験を行っているのだ。


 プレラーティ博士主導で行われた別世界への転移実験らしい。


 核戦争が始まる前に実験が成功したかどうかはもう分かりはしなし。


 だがそれによって俺と自分が住んでた一軒家が転移したのは確実だそうだ。


 なぜ電気やネットなどが接続できるのは謎のままだ。


 そして長い水色髪の美少女アンドロイドはこのシェルターの代理統括者でレベッカはこことは違うシェルターの住民でわけあって外の世界で旅をして偶然ここに辿り着いたそうだ。


 現在シェルターは長い年月による老朽化が進んでおり、急ピッチで復旧が進んでいるようだ。


 美少女アンドロイド曰く「私はレベッカさんに起こされるまで、長い年月休眠していましたから・・・・・・」とのことだ。


☆ 

 

 そこまで説明されてとにかく一旦自宅に戻る。


「へえ~綺麗な家に住んでるんだな。あ、お風呂とか洗濯機まである!! 水もちゃんと出るし――おい、借りていいか?」


 などとレベッカが子供のように喜んでいた。

 どうやら付いてきたらしい。

 俺は「もう好きにして」と言った。

 名無しのアンドロイド美少女もおそるおそる家に上がってきて周りをキョロキョロしていた。


「不思議です。この家が出現してから未知のネットワークエリアに接続できるようになったんですが・・・・・・」


「それどう言うこと?」


「有り体に言えば三枝さんの世界の事が、ネットで挙がってる範囲内であれば自由に調べられると言うことです。これが世界が滅びる前の文明なんですね」


「そ、そうなの?」


「一応外の世界の事は偵察ドローンなどで調べていますが――荒れ果てた荒野や廃墟が続いている有様です」


「はあ――」


 そして自室に入り、俺はこの世界の事で分かっている範囲の事を掲示板の住民に説明することにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る