来客者
Side 三枝 ユキノ
インターホンが鳴り、ビクッとなった。
とにかく二階の自室から一階におりてリビングにある機器からインターホン越しに外の様子を伺う。
目の前にいたのは少女だった。
しかもとんでもないレベルの。
長い水色髪の可愛らしく整った顔立ち。
可愛らしい瞳。
純白の肩周りが露出したミニスカで純白のアイドルが着そうな衣服を身に纏っている。
とても人間離れしているように――まるでアニメの世界からそのまま飛び出してきたような美少女にみえた。
色んな意味で驚きだった。
『あの? 聞こえてますでしょうか?』
「は、はい」
俺は緊張しながらそう答えた。
『ここは日本の政府機関のある特殊実験施設です』
「はい!?」
日本の政府機関!?
特殊実験施設!?
ますますワケが分からなくなった。
『私は――名前はありません。ただのアンドロイドです』
「あ、あんどろいど?」
そう言うキャラ付けのドッキリなのか?
益々ワケが分からなくなる。
『この特殊実験施設は核シェルターとしての機能も兼任していまして、核兵器の直撃後はとても長い長い月日が経過してようでして現在修復システムを作動させています』
言っている意味が頭の中に入ってこない。
そして入れ替わるように横から長く赤い髪の毛でサイバーパンクと言えばいいのか、ヘソ丸出しで両肩と両腕にプロテクターに長ズボン。大きな胸は細長い布で覆い尽くしている。衣装も肌も彼方此方、汚れが目立ち、くたびれているようにも感じる。
スチームパンク系の格好いい姉御系コスプレ美少女だ。
見た事ないSF銃を担いでいるがアレはオモチャだろうか?
『まあそう言うワケだ。こっちは安全手順とかで色々待ったんだ。そろそろ中に入ってもいいよな?』
『レベッカさん? ダメですよ? そんな乱暴なことをしちゃ』
『うるさいな。シェルターの外の世界で色々と大変だったんだよ』
赤髪の美少女はレベッカと言うらしい。
どうしようか?
中に入れるべきか?
入れざるべきか?
そもそも今どう言う状況なんだ?
『て、おい――ゴキブリ湧いてんじゃねえか!!』
そう言ってレベッカは手に持った大きなオモチャの銃から光線を発射し始めた。
俺は慌てて外に出た。
外に出ると――まるで巨大なドームの内側のようであり、ワケの分からない機器が沢山並んでいた。
敷地だけが飛ばされていたのか地面から先だけは別の世界のような。
自分の語彙力ではこれが精一杯の説明だ。
そして二人の美女の姿を見る。
「何が最新設備だ! 見事に老朽化してんじゃねえか!」
「すみません!」
愚痴をいいつつ光線を発射。
その視線の先を見るとゴキブリがいた。
デカイ。
犬並みのサイズだ。
それが一匹や二匹ではなく十匹近くいる。
あんまり直視したくはない光景だ。
「さてと――家の中の住民も出てくれたし――まず段取りを踏んで尋ねよう」
「は、はあ」
ゴキブリを光線銃で殺し終えたレベッカと名乗る美女は先程の事など何事もなかったかのようにこう言った。
「まず、お前は何者だ?」
「み、三枝 ユキノ。日本人で昨日まで~~~に住んでいました」
「日本人?」
「は、はい」
「ここのシェルターの名前か何かか?」
「はぁ?」
シェルターの名前?
そう言えば先程核兵器云々とか言ってなかったか?
「あの・・・・・・長い話になりそうなので場所を変えて落ち着いて話しませんか?」
と、隣にいた水色髪の少女がそう提案した。
その提案にレベッカは考え込んで――
「・・・・・・まあいいだろう。どこで話す?」
「応接室がありますんでそこで」
「OK、決まりだな。なあアンタは銃を使えるのか?」
「いや、持ったことない」
「だろうな。外に出たらどんなに頑張っても三日以内には死にそうだもんな」
何か凄いバカにされてるが、先程のゴキブリの大群を見た手前「そうですね」と苦笑するほかなかった。
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