これからどうするかについて

 Side 三枝 ユキノ


 どんな状況になっても腹は減る。


 とりあえずリビングに移動し、お腹が空いたのでテーブルに適当に冷蔵庫やら色んな場所からインスタント食品を取りだしてきた。


 姉の服を借りて――胸の谷間丸出しで目に毒な白いシャツに半ズボンと言うラフな衣装をしているレベッカは「うぉー!! 太っ腹だな!?」と喜んで食べ物にがっついた。


 そしてある程度食べるとレベッカは涙を流す――


「あの、レベッカさん? 大丈夫ですか?」


「あ。ああ・・・・・・だってさ。シェルター出ていらいずっと・・・・・・我慢して・・・・・・食い繋いで来たから・・・・・・」


「はあ・・・・・・」


 と目元を隠しながら嗚咽を混じらせ、悲しみを吐き出す。

 自分にはとても想像もつかないような成り行きが彼女にはあったのだろう。


「シェルター出て、右も左もわかんなくて、食う物や飲み物や身の安全とか住むところ、コインの稼ぎ――明日どうなるか、今日どうなるかもわかんないその日暮らしで必死に生きてきて、二日もしないうちにシェルターでの暮らしが恋しくなって・・・・・・またこんな日が来るなんて夢にも思わなかったから」


(迂闊に大変ですねって言える雰囲気じゃないな・・・・・・)


 少なくとも俺はそう感じた。

 

「とにかく、今後のためにもシェルターの探索をしないと・・・・・・食事も水もタダじゃないんだ。それに守りも――何か武器はあるのか?」


 と、レベッカは本調子ではなさそうだが――そうアンドロイドの少女に尋ねた。


「は、はい。軍で正式採用されていた銃や弾薬、パワーローダーもあります」

 

 突然話を振られて驚いたのか、アンドロイドの少女はハッとなってそう解説した。

 その説明にレベッカは立ち上がる。


「パワーローダーだって!? そんなもんまであるのかよ!?」


 レベッカは「本当にここは宝の山だな」と付け加えた。


「はい。最新鋭モデル、F6が置いております。他にも作業用のパワーローダーも幾つか置いております」


「おいおいすげえな。それだけでも一財産だ。売れば暫くは働かずに食っていけるぜ」


 などと会話を繰り広げる。


「あのーパワーローダーってなんですか? 話を聞く限り、凄い物だってのは分かるんですけど?」


「はあ? そんな事も知らない・・・・・・いや、そもそも・・・・・・えーとサエグサさんは――」

 

 何故か顔を赤らめて何をどう言えばいいのか分からない様子だった。


「ユキノでもいいよ?」


「じゃあユキノで。正直まだ半信半疑な部分もあるけど、ユキノはこの世界の住民じゃないんだよな?」


「うん、まあね」


「だよな。パワーローダーは分かり易く言えばパワードスーツさ。戦車と並んでこの世界の力の象徴で、高値で取引される。この施設にあるF6ってのはパワーローダーの中でも最強の部類にある代物さ」


「そう言われてもピンと来ないな・・・・・・」


 パワードスーツと言われて真っ先に思いつくのは某アメコミヒーローとかだが。

 この手の軍事知識に詳しくないので何とも言えない。


「ともかく見てみようぜ。他にも色々とありそうだしな」


 と、レベッカは楽しい事が待ちきれない子供のように言う。


 取りあえずはシェルターの探索をすることになった。

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