概要
演劇のはじまらない演劇部
桑原(くわばら)慎也(しんや)。二十五歳。私立城我浦(じょうがうら)高等学校に勤務する数学教師。
慎也には同じ高校に通う妹の麻美(あさみ)がいた。三年生で、演劇部の部長である。そんな演劇部の舞台が予定されていた文化祭当日、旧校舎三階にある演劇部部室から身投げした生徒の死体が発見された。遺書が残されていた部室は、飛び下りたとされる窓以外すべて施錠されており、鍵はしっかり職員室で管理されていたため、警察は生徒の死を正式に自殺として処置されたのである。
生徒の遺書には、後輩部員を自殺未遂に追い込んだことを悔いるもので、事実、後輩は命こそ無事だったものの、いじめを苦に手首を切って死のうとしたという。
慎也は、麻美が所属する演劇部に関わっていくうちに、これまで明かされることのなかった真実に辿り
慎也には同じ高校に通う妹の麻美(あさみ)がいた。三年生で、演劇部の部長である。そんな演劇部の舞台が予定されていた文化祭当日、旧校舎三階にある演劇部部室から身投げした生徒の死体が発見された。遺書が残されていた部室は、飛び下りたとされる窓以外すべて施錠されており、鍵はしっかり職員室で管理されていたため、警察は生徒の死を正式に自殺として処置されたのである。
生徒の遺書には、後輩部員を自殺未遂に追い込んだことを悔いるもので、事実、後輩は命こそ無事だったものの、いじめを苦に手首を切って死のうとしたという。
慎也は、麻美が所属する演劇部に関わっていくうちに、これまで明かされることのなかった真実に辿り