第9話 青白い青年

 夜11時頃、戸が開くと青年が一人入って来た。

 よねさんはいつも通り「寒かったろうに、そこへ、お座りなさい」と近くのテーブルを指差した。

 青年は、静かに座ると押し黙って何も喋らない。

 よねさんは、温かいお茶を出した。そして、飲むように促すと青年は暖かいお茶を飲み涙を流し始めた。

 よねさんは、肩を撫でてやってしばらくすると青年は話始めた。

 「大学受験に失敗してあんなに頑張って勉強したのにもう駄目だと思って、気づいたらこの森に来ていました。でも、ここのお店に入れて自分を取り戻せました。」

 よねさんは、何度も何度も大丈夫なんだよと肩や頭を撫でてやり、青年に野菜のコンソメスープを作りました。

 青年は、温かいスープを飲みながら、また泣いてよねさんと朝まで大学だけが全てじゃないことや、精一杯やった自分は決して駄目じゃない。素晴らしいことを、繰り返し伝え明け方青年はお礼をして帰って行きました。

 よねさんは、明け方少し食事をとると奥の寝室で休みました。

 

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