第12話 方丈様と霊

 方丈様の話によると、20人程の霊たちに出会ったそうだ。皆この森で自殺をしたものたちばかり。

 9割りほどの霊は、方丈様と話し合い、事前によねさんに用意してもらった、塩むすびとお茶を堪能した後に成仏していったそうだ。

 しかし、なかには悪霊となり方丈様に襲いかかったり威嚇したりして手に終えないものもいた。

 よねさんは、夜中に起きてきた方丈様にかぼちゃのポタージュを作り差し出した。方丈様は軽く手を合わせスープを飲みながらこう話した。

 「霊たちと話をして共通するのが、親からの愛情これに尽きますね。皆、苦しいとき親から受け入れてもらえないどころか突き放され絶望したと言っている。また、いつも子供より世間体や他に気をとられ後回しにされてきたと気を使う側にまわされたと。親からいじめられてきた子供に、自己責任を求めてもそれはただ彼らを苦しめるだけだ。彼らは、親は今生産んだ親だけという観念に縛られている。本当の親は、偉大であることに無知である。」方丈様はため息をつき、また、寝室へ帰っていかれた。

 よねさんは、なるほどと思い暖炉前の椅子に座って目を閉じた。

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