第11話 後継者
方丈様が森へ行って、よねさんの店に帰って来たのが、翌日の午後だった。
ひどくお疲れのご様子で、帰るなり入浴を済ませてさっさと寝てしまった。
2階の部屋は、あかりちゃんとはやこさんが相部屋になってもらい、あかりちゃんは近々学校の寮に入るそうだ。
増築の件も、少しずつ話が進み当初は今の建物に増築という話が今では隣に新しく家をたてることにまでなっていた。
というのも、2階にいる親子が近くのアパートへ引越、母親の富子さんがよねさんの後継者となることになった。
店も、富子さんが日中、よねさんが夜に出るようになったことで24時間体制で開けることになった。富子さんは、はじめ自分が夜にと言って来たのだが、子供がいるのでよねさんと話し合って日中になった。
ありがたいことに、店にお金を寄付したいと申し出る社長さんたちが沢山おり、店の建て替えや富子さんのお給料まで賄えることになった。社長さんは全て以前店を訪れた人たちだった。
富子さんは旦那さんとは、子供が成人するまでは別れないらしいが、新たに自立することでほっとしたようだった。
この店は、ご存じの通り売り上げ目的ではない。自分が死ぬまでと思っていたよねさんにとって、後継者ができることは思いもよらないことであり、同時に森に来る人が後を絶たない現実にただ向き合っていくしかなかった。
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