第17話 結婚式に大事なものを忘れたおかげで大事なことに気づいた話

「結婚式をしたくない」という会員さんが時々います。

わかります、何百万円もブライダル業者に払うのは無駄ですよね。


結婚相談所の入会だけに何十万円も使うのも無駄だと思いますが、その十倍から数十倍をたった一日のために使うのはなおさらですよね。


そんな話をすると、

「じゃあ、大西さんはどんな結婚式をしたのですか?」

と聞かれます。


私は2回結婚していますが、どちらも結婚式を挙げています。

特に、2回目の結婚式には、自分の思い入れがありました。


何かというと、それは「身の丈」でした。

「今の自分の等身大の姿を決して大きく見せない」ということを最重視していました。


なぜ普段西友で服を買っているのに、ブランドのウェディングドレスを着るのか。

普段C&Cカレーを食ってるのに、フランス料理でお出迎えするのか。

それ、私じゃないです。


「自分だったらこんなことしない」ということを徹底的に排除したいと言うことをひよこさんに伝えました。


ひよこさんも同感だったようで、「超地味な結婚式にしよう」という話に。


まず、私が開始したのは、ウェディングドレス作りでした。日暮里の繊維街で「お嫁さんの生地」コーナーでしっかり生地を買い、そして型を使って縫い始めました。


ところが途中で気がつきました。

その型紙のサイズ、私のサイズじゃない!!!! 


「うううう」と泣きながら、eBayでウェディングドレスを輸入。7,000円でした。


次に手をつけたのが、ウェディングブーケ。

真っ赤なバラの造花を大量に使ったオリジナルブーケです。

ドレスよりも花に目が行くようにという狙いのブーケです。かなり攻めています。


これはめちゃくちゃうまくできました。


そして、当日。自分の教会での結婚式。

私は、何を思ったのか、ブーケを忘れてきました。


そのことを知ったご婦人の方々が「明美ちゃん、ブーケがない結婚式はないわよ」と

私以上に慌てていました。


ひよこさんは「俺、とんでもない人と結婚しようとしている」とつぶやいていました。


たまたま着ていたご婦人のひとりが長年花屋を経営していた人でした。その方がものの1時間たらずで買いに行ってブーケを作ってくださいました。


本当に、自分の力の無力さ、そして人にいつも助けられて、迷惑をかけて自分は生きているんだなとつくづく思いました。


自分ひとりの力でどうにか人生がなっているなんて思ってはいけない、とこの結婚式で思い知らされました。


その日に、ひよこさんが言った言葉がさらに忘れられない言葉になりました。

「明美ちゃんをもっともっと幸せにします」


口数の少ないひよこさんの愚かな私への愛の言葉でした。

私はいまも、幸せです。


以上♡

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