シングルマザーのシュカは、スクラップ・クリーチャーという怪物と戦うレアメタル・ハンター。
彼女はひとり息子を育てながら、怪物との戦いに身を投じている。
怪物との戦いに手に汗握り、息子を育てる母としての戦いにも手に汗握り、職場での女性ならではの人間関係に手に汗握り……
とにかく色んな問題が起きて「このあとどうなるの?」と先が気になるお話。
19万字もあるはずなのに、読み終わったときは「あっという間だったな」と感じました。
内容も面白いし、文章も読みやすい!
良作です☆
個人的には、ぜひ番外編まで読んで欲しい!
わたし、最後の最後で本気で涙出ました!!!!
いやはや最高!!
こちらの物語は、一言で言うと世界のために戦うシングルマザー「シュカ」のオハナシです。
けれど、その一言では決して終わらせられない、いや終わらせてはいけない彼女の壮絶な人生、そして生き様、葛藤、強さ、弱さ、愛、全てがこの物語に描かれ、それをしっかりと読者は感じ取ることが出来ます。
その読者の一人だった私はもう何度泣いたことか……
同じ女性として共感できる部分も、めちゃくちゃあり、そして彼女の強さにも魅了され、すっかりシュカさんの虜になってしまいました。
物語の内容に少し触れると、近未来でのノースシティという場所でスクラップビーストという敵と、近未来の技術を駆使し、戦闘するというバトルSF作品です。
そのバトルシーンがまたすごい!!
もうですね、映画を見ているように情景が浮かび、私もひやひやして、すごいんです!いやもう興奮しすぎて語彙力失ってますが(元々の問題)、とにかく戦闘シーンがすごい!!もう読んでしか言いようがないです。
そのバトルシーンもすごいのに、濃いこいーーー人間ドラマもしっかりあり、彼女の周囲にいる人間との恋愛(マジ泣くレイさん)、信頼(エータ君カワイイ、トバリさんかっけー)、バディ(アンジイカス)、親子愛(一番泣いたとこかもも…)とまぁ、私が興奮しすぎて何言ってるかたぶん皆さんよく分かんないと思いますが、とにかくすっごい濃く盛り込まれているんです!!
だから読んで!!!読んで!!!!もう無数に言いたいこの言葉。
ということで、私も言いたかったこの最高な決めゼリフ。
「さぁ、さよならの時間だよ」
シュカさんにリスペクトしつつ、名残り惜しいですがこのレビューを終わらせたいと思います。
あなたにもこの興奮をぜひ知ってもらえますように……!!
スクラップから生まれたクリーチャーを狩るレアメタルハンターの活躍を描く物語。なぜクリーチャーは生まれてきたのか? 街を、愛する人たちを守れるのか、そしてハンターたちの運命は? 主人公を取り巻く人間関係と、息もつかせぬアクション、謎を追う物語展開に最初から最後まで惹きつけられっぱなしでした。
主人公はヒーローとママの二つの顔を持つために、その深みがますますかっこよさを際立たせ、応援したくなります。周りをかためる男たちも、それぞれ違った魅力で物語を彩ります。そして強大な敵と、意外な黒幕。役者はそろって、いよいよ大団円へ!
エンターテイメントの粋を尽くした物語、皆様もぜひ味わってくださいませ。
是非、読んでください。
迷う必要はなし。絶対に面白いから。
SFが苦手? 大丈夫ダイジョーブ。これはただのSFじゃありません。
笑いアリ涙アリ、魅力的なキャラクターが織りなす濃厚な人間ドラマに、息をもつかせぬ怒濤の展開。大きな謎と深遠な陰謀。予想を裏切る驚きやドキドキの恋愛要素、家族愛に仲間との友情。痛快爽快カタルシス。
小説を読んで感じる喜びのすべてが、これでもかと詰まっています。
もちろん、SFとしてのクールな世界観や華麗かつ大迫力の戦闘シーンも必見! 作者さまの桁外れな筆力のおかげで、脳内再生余裕です!
主人公のシュカは、スクラップから生まれたクリーチャーを狩る『レアメタル・ハンター』。通称「スパイダー・リリー」。(ほら、もうなんかカッコイイ!)
シングルマザーとしてひとり息子を育てながら働く、戦う公務員です。
クリーチャーをせっせと狩ってレアメタルを回収しては、息子のお迎えに急ぐ日々。辛い過去や職場の人間関係に悩まされながらも頑張るシュカさんは、本当に素敵。
ある日感じた、小さな異変。ちょっとした違和感。物語は大きくうねりながら、予想もしなかった結末へと走り出します。クリーチャーの正体は、秘密裏に進む陰謀とは、真の敵は誰なのか。そして最後の強敵とは…?!
「さぁ、さよならの時間だよ」
……うわーーーーーん!!(思い出し泣き)
読めばきっと、あなたもシュカさんの(あるいは他のキャラの)大ファンに。事ある毎に「オペレーション!」って言いたくなるはず。
周囲に人の居ないところで読む事をおすすめします。ハンカチとティッシュのご用意をお忘れなく!
鉄屑からできたモンスターを討伐して、貴重な資源を回収する戦う公務員の物語……。
公務員、っていうとあれですけど、戦うんです。戦士です。ハンターです。
いわゆるヒーローものでしょ? アクション重視でしょ? ドンパチやってりゃいいと思ってるんでしょ?
そんな印象を抱いたあなたにこそ読んでほしい。
ここには、「戦うことへの葛藤」も、「自分の内側についた傷の舐め方」も、「ある個人を大切に思う気持ち」も、「大切な人を守りたいという思い」も、「家族への愛情」もあります。
「信念や覚悟、想いが試される」場面もたくさんあります。
もし自分がシュカの立場だったら……そう考えずにはいられないと思います。
ただのヒーローものじゃありません。
戦う理由も、自分との向き合い方も、恋も、信念も、愛情も。
大切に、丁寧に、巧みに、描かれています。
胸が熱くなります。戦い、という意味でも。ドラマ、という意味でも。
一読を勧めます!
いやいや、すごく良い作品でした。
イケメンでマッシブな主人公が活躍する物語もいいものですが、今作のヒロインはシングルマザー。しかも狂戦士ばりの凶暴性と、一人息子を溺愛する二面性が鮮やかなヒロインです。
敵はスクラップを寄せ集めた『クリーチャー』、姿形も様々な謎の多い自律メカです。
世界設定はSFながらも、しっかりとした人間ドラマが息づいています。
定時になればお迎えに行かなきゃならなかったり、ハンバーガーダイナーでくつろいだり。
凄惨な戦場を仕事場にしながらも、彼女には守るべきささやかな家庭と幸せがある。
そんな彼女の周りを取り囲むのが個性豊かな仲間たち。中でも飄々としたアンジー、責任感の固まりのようなトバリ、新人のエータなどなど。
誰もかれもが強烈で印象深いキャラクター達です。
彼ら『レアメタル・ハンター』は日々クリーチャーを撃退し、街を守り続けています。しかしその敵も不意に進化ともいえる突然変異を成し遂げ、ギリギリの均衡を保っていた日常が崩壊していきます。
この辺り、SFならではの仕掛け、事件性が現れてストーリーが俄然面白くなっていきます。
そして物語をさらに面白くするのが重厚な人間ドラマと圧巻のアクションシーン。とくにスカイスーツと呼ばれる装備で、空中を自由自在に駆け回る様はお見事の一言。
ぜひ映像化で見てみたい文章なのですが……いや、文章だけで十分に脳裏に映像が展開されます!
この作者の作品ははっきり言ってどれを読んでも完成度が高く面白いです。
文章の読みやすさ、会話の軽快さ、アクションシーンのスピード感、長編ならではの重厚なストーリー展開。
是非読んで見てほしい作品です。
戦争の影響で、レアメタルが枯渇しかけている世界。その国は、スクラップからレアメタルを回収しなければならないほど困窮していた。
ただし、その回収は命がけの仕事でもあった。スクラップが集結し凶暴に変異し、兵器としても通用しそうなそれを、屠らないと始まらなかったからだ。
この物語の主人公は、そんな世界にその身を置く紅一点。素敵で綺麗な女性であり、強くて優しい母なのだ。そして、最愛の人を、この仕事で亡くしているのは、哀しくもせつない。
日々、人々の暮らしを護り戦ってきた主人公たちが、ある陰謀に巻き込まれていく。
それは、攻め寄るスクラップたちの進化と、思いもよらない戦争への加担。
主人公たちは、それら、未知の敵に立ち向かっていくが……。
スクラップたちとの戦闘シーンはスピード感と迫力がある。愛する我が子を背中に庇うべきシーンは優しさが漂う。そして、愛する人を失うシーンは……、悲しみがこみ上げてくる。
そのすべてが絡み合った最後に、主人公が手にしたものはなんだろうか……。
スクラップ資源から「レアメタル」を回収するレアメタルハンター。
そのエースとして名を馳せるスパイダー・リリィ、カンザキ・シュカは、強く、美しい、シングルマザーだった。
戦う相手は旧時代の廃棄物から成る擬似生命体、通称スクラップ・ワーム。愛する息子のために彼女は近未来SF世界の空を駆ける。
取り巻く陰謀。死別した夫との過去。進化するスクラップ・モンスター。立ち向かうべき困難は積み重ね。
ヒーロー?
スーパーウーマン?
美しき戦士シュカが繋ぐ物語の果ては如何に!?
愛する息子、記憶の中の夫、頼れる上司、飄々とした同期、初々しい後輩、オカマッチョ――――色んなキャラクターが登場して、その誰もがキャラクターが立っています。
これはそんな彼らが紡ぐヒューマン・ドラマ。
さくっと読めちゃうオススメの作品です。
いつのころからか戦隊アニメのヒーローに女性が就任しています。
たとえば、セーラームーン、プリキュア。
彼女たちは「美」の付く少女です。
陽澄すずめ様の『レアメタリック・マミィ』の主人公、
カンザキ・シュカは「美」の付く母でありハンターです。
近未来を舞台に異質な外敵と対峙するシュカ。
彼女の戦いの朝は、ひとり息子のイチくんを保育園に連れて行くところから始まります。
女性が仕事を持ち、最前線で活躍することが珍しくなくなりつつある昨今、シュカのような朝のルーティンをこなしている御方も多いのでは。そう思える日常。そして、日常を支えるための仕事。
守るべきものを守るため、シュカは戦います。
己の弱さを乗り越えて、家族や同僚といった大切な存在が笑顔で生きる日常を守るため、戦います。
緊迫感に充ちるハンター生活と、ゆるやかなリラクゼーションをもたらす家庭生活。
大切な家庭生活に欠かせない存在を度重なって喪いそうになったときこそ、「此岸と彼岸を結ぶ花(スパイダー・リリィ)」というハンターネームで強く美しく舞うシュカ。
妻であり母でありレアメタルハンターである彼女の生きざまが、鮮やかに開花する世界です。
卓越した描写力で描かれる極上のSFヒューマンドラマです。
こころ抉られたい御方、必読。
“オペレーション!”
強烈なインパクトを持つこの言葉から始まる、壮大なSFヒューマンドラマ。
主人公のシュカがとにかく魅力的です。一流のレアメタル・ハンターでありながら、勤務時間が終われば大急ぎで子どもを保育園に迎えに行く、働くママ。カッコよすぎる任務遂行の時間と、子育てに奮闘する時間のギャップに現実感が滲み出ています。と同時に、彼女の持つ、ひとりの人間、ひとりの女としての苦しみ、迷いが描かれ、それが人物像に奥行きを持たせてくれます。
何のために戦うのか、何を守りたいのか。
人としてひとつ大きくなるための主人公の成長物語とも思えます。
近未来を思わせる舞台設定や世界観も素晴らしい。土台がしっかりと固められているため、そこで展開する物語の中へ安心してどっぷりと入り込んでゆけます。緊迫感のみなぎる戦闘シーン、ハンターたちの躍動感ある動き、その光景がまさに目の前に広がるかのようです。そしてどんどん明らかになって来る真実。ここまで来るともう物語に呑み込まれてしまうばかり。
シュカを取り巻く脇役陣もそれぞれに個性的で素敵です。なかでもやはり…アンジ。斜に構えたかっこよさがたまりません。
一文字、一句までぬかりのない、磨き抜かれた文章。鳥肌が立ち、ため息をつき、笑わされ、そして号泣……筆者の腕にまんまと感情を揺さぶられました。
このクオリティだからこそ、「文章で読む」楽しみを気づかせてくれました。
SFとしても、ヒューマンドラマとしても超一級のエンターテイメントです。
母として、妻として、女性として、そして、職業人として。瞬間瞬間を大切に生きるヒロイン、シュカ。
その生き様と背負った過去に、この状況で自分はシュカのように選択できるのか、と自問する。答えはきっと否だ。
シュカの大きな愛、それを自らの手で守ろうとする強い意思は、美しい。それを実現する行動力もまた。
母として、職業人として、どう生きるべきか悩むシュカの姿は、すべての働くママたちが抱えて揺れる悩みでもある。
働くママに限らず、大切な人を抱えて世の中の前線に立つ誰もが、同じ思いを抱えているはずだ。
シュカが手を伸ばして選びとる未来を、ぜひ一緒に、体験してほしい。
スクラップ資源から希少な資源「レアメタル」を回収するハンター。
そのチームのエース格である紅一点、シングルマザーのカンザキ・シュカをとりまく物語。
序盤こそシングルマザーのドタバタほのぼの物語だが、彼女の悲痛な過去が明らかになるとともに、国全体を巻き込む謎と陰謀に包まれていく。そのダイナミックな構成、その中で出てくるチーム内の人間ドラマ、武器とスカイスーツで戦う鮮やかなアクション! それはまさにハリウッド映画のようなエンターテインメントになっている。
そして何より、本作ではいつも、誰かが誰かのヒーローになっている。シュカが子供のイチや部下のエータのヒーローになっているときもあれば、同僚のアンジがシュカにとってのヒーローとなって助けるときもあり、上司のトバリがチームのヒーローになっていることも。
万人のためのヒーローではないけど、守りたい何かの、助けたい誰かのために、人はいつでもヒーローになれる。そんなことに気付かされ、心が潤う。これもまた、ハリウッドのようなメッセージだ。
書籍化もすっ飛ばして映像化してほしい作品。誰が読んでも楽しめること間違いなし!
SF小説って、ほっんと女性に読まれないんですよね。
小難しい設定や、難解な言い回し、人間関係の希薄さ、そして、女性キャラクターの記号感。
女性主人公のSF作品は多々ありますが、果たしてその主人公が女性である必要性があったのだろうかと疑問に思います。かわいい顔をした男の子におっぱいを付けただけではと。
そういったSF文脈の中で、この『レアメタリック・マミィ!』は産声を上げました。
この作品の主人公シュカは、女性でなければなりません。
シングルマザー生活の苦労、男性社会での生きづらさ、愛するパートナーとの別れ。機械生命体を蹂躙するSFアクション小説を、「女性目線で捉えた世界風景」がサブプロットとして作品を強固に支えています。
とにかく爽快なアクションを、キレのある文体が彩るメインプロットも読みどころ。この部分では女性だなんだ関係なく、迫り来る敵をバッサバッサと斬り捨てるアクションが楽しめます。
《SF小説なのに》読みやすいのは作者様の力量によるものですね。情報の取捨選択、圧縮、拡散が的確になされており、とにかくリーダビリティが高いです。
「SFは苦手だな。でも、最近普通の恋愛小説や人間ドラマにも飽きてきちゃったし、たまには何かスカッとするアクション小説でも読んでみたいなー」という女性読者の方に《特に》おすすめします。
もちろん、完成度の高いSFアクション小説が読みたい男性の方にもおすすめできる小説ですよ。
そんなに遠くない未来。
スクラップ資源からレアメタルを回収することを生業とするレアメタル・ハンターという奴らがいた。
これはその、ハンター・チームの紅一点。凄腕女性ハンター、カンザキ・シュカの物語である。
ただしこの時代のレアメタル回収は困難を極める。スクラップ・クリーチャーなる謎の怪物が出現し、鉄材をマテリアルとして巨大な図体を形成し、人間を襲うからだ。
シュカは、スカイスーツで空を自在に飛び回り、近接武器のソードを手に、この巨大な怪物に挑み、そのコアを破壊するハンターチームのエース。
だが、彼女は一方で、一児の母でもあるのだ!
昼間は荒野で巨大なモンスターを相手に剣を振るい、終わったら息子を迎えに行って家では五歳児という怪獣を相手に奮闘する。
激しくも幸せな生活をおくるシングル・マザー、それがカンザキ・シュカだ。
ところが、スクラップ・クリーチャーどもに、なにか今までと違うおかしな動きをする奴らが現れ……。
作者さんは、実生活でも母親で、息子さんにつきあって朝の特撮をみているうちに自分もドハマリした経験のあるSFスキーな書き手さんです。
そのため、ちょっと終末的な未来社会を描きつつも、主人公の活躍はもう「行くぜ行くぜ行くぜ!」の「最初からクライマックス」。スクラップ・クリーチャーなんか「倒しちゃうけど良いよね? 答えは聞いてない!」みたいなノリです。
女性であるのに、ハンターチームのエース、シュカの強さはほんと、「泣けるでー」。
また、彼女とチームを組む野郎どもも、かっこいいです。
隊長のトバリは、「男の仕事は八割が決断だ」的な感じの頼りになるリーダーだし、同僚のアンジは、それを言うなら「俺たちは、だろ」と背中を任せられる男。後輩のエータはちょっと頼りなくて……まあ、「エータをよろしく!」とでもしておきましょう。
先行き不安な世界で、大切な人を守るため、クールで強くて美しい、最高に格好いいママが仲間とともに空を駆けます。
不気味な怪物、闇に潜む強大な悪、街に襲来する化け物の大軍。
しかし、シュカは負けません。彼女には天翔けるスカイスーツと、決して折れないソードと、そして「仲間がいるんだ」。
アクション、アクション、育児、アクション!
この爽快な物語は絶対にあなたの期待を裏切りません。
このレビューを読んだそこのあなた、どうぞぼくに「釣られて」みて!
はいよー、やってまいりましたよ。お楽しみの日曜すずめ劇場。
今回の物語の主役は、戦うシングルマザー!
荒廃した近未来世界に現れる謎の怪物、スクラップ・クリーチャーをバッタバタと華麗になぎ倒す、スーパー強くて美人で、おまけにおppもすごい、ハイスペックおかあさんです!
もうですね、あらすじ読んだ時点で物語のクオリティの高さは概ね予想しておったわけですが、見事その予想をどぴゅーんっと上回ってくれましたね。
本格アクション映画顔負けの戦闘シーン、推敲を重ねたであろう世界情勢設定、各種武装や電脳チップなどのテクニカル設定、見事にキャラが立った愛おしい登場人物たち。紡がれる壮絶な過去と、時々ほんわかエピソード。
そして一転二転でハラハラドキドキが止まらない、ときめきどこまでもエスカレートなドラマ展開。
今回も、爽快な洋画を一本観終わったような満足感を得ることができました。
これもう、ハリウッド映画ですやん。
ハリウッドならぬ、スズメッド映画ですやん。
荒廃した大地を、空を、スカイスーツで縦横無尽に飛び回って戦うシュカさんの姿が、一話の時点で眼前に浮かんできますやん。
畜生、また俺の目を盗まれた……素子おおおお!
物語の舞台自体は、近未来SFのテンプレ的要素もおさえつつ、そこまでエポックメーキング……というわけでもないのですが、凄いのは、このゴリッゴリSF洋画ワールドの主役を、「子持ちのおかあさん」にしちゃったところですね。
シュカさんが某少佐的な、ただの凄腕パワフルウーマンだったら、それこそこの作品に真新しさを感じたりはしなかったでしょう。
しかし、これが五歳児の母となれば……もう、キャラ付けは完璧。
子持ちの読者さんなら、ある意味スクラップ・クリーチャーよりも厄介な生き物相手に悪戦苦闘するシュカさんの育児エピソードを見て、思わず「あるある~」と唸ってしまうこと請け合いです。
ストーリー始まって早々、主人公にここまでスルッと感情移入させてしまうSFは、非常に珍しいかもしれません。
本格SFストーリーをSFに明るくない読者にもサラッと読ませてしまう作者さまの客引きテクと絶倫の技量については、私もすでにうっふんあっはんと骨身に染み込まされておりますが(?)、なるほど今回はこう来たかと膝を打ちました。
そうなんです、一流の技量を持つ美人レアメタル・ハンターも、血の通った人間なんです。可愛い子供の親なんです。ぼくらはみんな、生きているんです。ミミズだってオケラだって小説の登場人物だって、みんなみんな生きているんです。
ああ、タ〇コマたちの大合唱が聞こえてくる……(幻聴だ)
さあさあ、「SFなんて堅苦しいのはごめんだぜー。それよりおっぱいだー!」などと嘯いている、思春期SF敬遠読者たちよ。騙されたと思って、この物語を読んでみてください。
きっとあなたたちの心のSF史に、新たな1ページが刻み込まれるはずですから!
とにかく完成度の高い一作。
伏線とその回収が見事。
満載のアクションシーンに加え、「働くお母さん」としての主人公がいい。
派手なアクションをこれでもかと見事に描写する一方で、「戦うヒロイン」と「シングルマザー」の二面性を持つ主人公の内面をごく自然に描いているのが、本作の最大の特徴だと思います。保育園のお迎え事情とか書いてあるんですよ。
ヒロインのシュカは、強いのはもちろん、大人の女性としてもかっこいい。
だからヒーロー的役割を担うアンジとのバディ感が生きてくる。
このアンジ、すごくいい男なんですよ~。でも二人の間にはべたべたした感じはなく、ちょっとした会話のやりとりがいいんだなあ。
アンジだけでなく、他の脇役もキャラが立ってます。
私が好きなのはトバリさん。素敵すぎます……。
そして、出番は少ないながらもジェニーさんが強烈な印象を残しました。素晴らしいキャラ。包容力と飯テロです。
最後に、なんといってもヒロイン・シュカの息子であるイチ君! 彼の存在によって、自分の子どもが小さかった頃のことを思い出したりして、個人的には、物語の外の世界への広がりもありました。
まとまりのないレビューになってしまいましたが、完成度の高い良作です。
文字数に怖気づかずに是非、読んでみて欲しいです! おすすめ!
シングルマザーを主人公にする小説、殊に戦闘場面を擁する小説は少ないと思われますが、本作はシングルマザーがゆえにのぞかせる美しさ、気高さ、悲しさ、そして母性が魅力を最大限に引き出しています!
なぜ、シングルマザーになったのか。
その経緯はとても悲しく、読者に共感を与えますが、読み進むに連れて、怒りと無情さを味わわせます。
その無情さの中で、レアメタルをスクラップから回収するハンターたちは、どう立ち向かっていくのか。
最後は、涙腺を刺激されること間違いなしです。
文章もとても読みやすく、長さをまるで感じさせないテンポで、気づけば一気呵成にエンディングまで突き進むでしょう!
これだけたくさんの★が付いていることは、納得です!
本当にヒューマンドラマとして素晴らしい作品で、小説の書き手にとって嫉妬すら感じるほどではないでしょうか!? オススメです!!
スパイダー・リリィ。日本語では彼岸花の異名を持つ、カンザキ・シュカ。
職業は特殊環境下での希少金属の採取。俗に言う、レアメタルハンター。
夫を亡くした、一児の母でもある。
スカイスーツによって自在に宙を翔け、マルチレールガンをぶっ放す。敵は廃棄物に巣食うスクラップクリーチャー。
戦う姿を書き並べて既に、ドキドキしてくるのは私だけだろうか。
この時点で既に、彼女はカッコイイのだ。
彼女の住む街は、平和で穏やかとは言えない。そこで女だてらにハンターとして、子を抱えて働くのは楽でない。
そんなシュカを、偶像(アイドル)のように見る者も居る。
普通の周りに居る女性たちと、同じようにしていればいいのにと思う者も居る。
そうありたいと願ったわけでもないのに。
どうするのが正しいのか。どうするのが息子に良いのか。分からないまま懸命に生きる彼女に、事件が起きる。
陰謀の臭い。
広がっていく被害。
それはやがて、愛息子にも。
手に汗握るアクションシーン。息を呑むような緊迫感。これを小説で味わったのは久しぶりだ。
その中にシュカの苦悩がありありと伝わってくる。彼女が問うのは、ずっと一つ。
最後に示された答えは、もちろん納得だ。
けれども私が思うのは、どうやってその答えを得たのか。
シュカが自分の心に問うたび、私も頷いた。そうだね、その通りだねと。
主人公シュカと、シンクロして突破した困難。
私はずっと、忘れない。