『思うはあなた一人』それが彼女の花言葉。

スパイダー・リリィ。日本語では彼岸花の異名を持つ、カンザキ・シュカ。
職業は特殊環境下での希少金属の採取。俗に言う、レアメタルハンター。
夫を亡くした、一児の母でもある。

スカイスーツによって自在に宙を翔け、マルチレールガンをぶっ放す。敵は廃棄物に巣食うスクラップクリーチャー。
戦う姿を書き並べて既に、ドキドキしてくるのは私だけだろうか。
この時点で既に、彼女はカッコイイのだ。

彼女の住む街は、平和で穏やかとは言えない。そこで女だてらにハンターとして、子を抱えて働くのは楽でない。
そんなシュカを、偶像(アイドル)のように見る者も居る。
普通の周りに居る女性たちと、同じようにしていればいいのにと思う者も居る。
そうありたいと願ったわけでもないのに。

どうするのが正しいのか。どうするのが息子に良いのか。分からないまま懸命に生きる彼女に、事件が起きる。
陰謀の臭い。
広がっていく被害。
それはやがて、愛息子にも。

手に汗握るアクションシーン。息を呑むような緊迫感。これを小説で味わったのは久しぶりだ。
その中にシュカの苦悩がありありと伝わってくる。彼女が問うのは、ずっと一つ。
最後に示された答えは、もちろん納得だ。
けれども私が思うのは、どうやってその答えを得たのか。
シュカが自分の心に問うたび、私も頷いた。そうだね、その通りだねと。

主人公シュカと、シンクロして突破した困難。
私はずっと、忘れない。

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