最初に言っておく。シングルマザーは、かなり強い!


 そんなに遠くない未来。

 スクラップ資源からレアメタルを回収することを生業とするレアメタル・ハンターという奴らがいた。
 これはその、ハンター・チームの紅一点。凄腕女性ハンター、カンザキ・シュカの物語である。

 ただしこの時代のレアメタル回収は困難を極める。スクラップ・クリーチャーなる謎の怪物が出現し、鉄材をマテリアルとして巨大な図体を形成し、人間を襲うからだ。
 シュカは、スカイスーツで空を自在に飛び回り、近接武器のソードを手に、この巨大な怪物に挑み、そのコアを破壊するハンターチームのエース。
 だが、彼女は一方で、一児の母でもあるのだ!

 昼間は荒野で巨大なモンスターを相手に剣を振るい、終わったら息子を迎えに行って家では五歳児という怪獣を相手に奮闘する。
 激しくも幸せな生活をおくるシングル・マザー、それがカンザキ・シュカだ。

 ところが、スクラップ・クリーチャーどもに、なにか今までと違うおかしな動きをする奴らが現れ……。



 作者さんは、実生活でも母親で、息子さんにつきあって朝の特撮をみているうちに自分もドハマリした経験のあるSFスキーな書き手さんです。

 そのため、ちょっと終末的な未来社会を描きつつも、主人公の活躍はもう「行くぜ行くぜ行くぜ!」の「最初からクライマックス」。スクラップ・クリーチャーなんか「倒しちゃうけど良いよね? 答えは聞いてない!」みたいなノリです。
 女性であるのに、ハンターチームのエース、シュカの強さはほんと、「泣けるでー」。

 また、彼女とチームを組む野郎どもも、かっこいいです。
 隊長のトバリは、「男の仕事は八割が決断だ」的な感じの頼りになるリーダーだし、同僚のアンジは、それを言うなら「俺たちは、だろ」と背中を任せられる男。後輩のエータはちょっと頼りなくて……まあ、「エータをよろしく!」とでもしておきましょう。

 先行き不安な世界で、大切な人を守るため、クールで強くて美しい、最高に格好いいママが仲間とともに空を駆けます。

 不気味な怪物、闇に潜む強大な悪、街に襲来する化け物の大軍。
 しかし、シュカは負けません。彼女には天翔けるスカイスーツと、決して折れないソードと、そして「仲間がいるんだ」。

 アクション、アクション、育児、アクション!
 この爽快な物語は絶対にあなたの期待を裏切りません。

 このレビューを読んだそこのあなた、どうぞぼくに「釣られて」みて!



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