誰かを守るために、今日もその言葉を紡ぐ。
- ★★★ Excellent!!!
“オペレーション!”
強烈なインパクトを持つこの言葉から始まる、壮大なSFヒューマンドラマ。
主人公のシュカがとにかく魅力的です。一流のレアメタル・ハンターでありながら、勤務時間が終われば大急ぎで子どもを保育園に迎えに行く、働くママ。カッコよすぎる任務遂行の時間と、子育てに奮闘する時間のギャップに現実感が滲み出ています。と同時に、彼女の持つ、ひとりの人間、ひとりの女としての苦しみ、迷いが描かれ、それが人物像に奥行きを持たせてくれます。
何のために戦うのか、何を守りたいのか。
人としてひとつ大きくなるための主人公の成長物語とも思えます。
近未来を思わせる舞台設定や世界観も素晴らしい。土台がしっかりと固められているため、そこで展開する物語の中へ安心してどっぷりと入り込んでゆけます。緊迫感のみなぎる戦闘シーン、ハンターたちの躍動感ある動き、その光景がまさに目の前に広がるかのようです。そしてどんどん明らかになって来る真実。ここまで来るともう物語に呑み込まれてしまうばかり。
シュカを取り巻く脇役陣もそれぞれに個性的で素敵です。なかでもやはり…アンジ。斜に構えたかっこよさがたまりません。
一文字、一句までぬかりのない、磨き抜かれた文章。鳥肌が立ち、ため息をつき、笑わされ、そして号泣……筆者の腕にまんまと感情を揺さぶられました。
このクオリティだからこそ、「文章で読む」楽しみを気づかせてくれました。
SFとしても、ヒューマンドラマとしても超一級のエンターテイメントです。