第13話 誤解について

 人間は対面していても誤解し合う。活字しかない世界では、なおさらそうなのかもしれない。


 だが、誤解は誤解のままにしておいた方が良いケースも皆無ではないのだろう。ホワイト・ライ、それが相手を傷つけぬ方便なのだとしたら、少なくとも短期的にはそういうものだ。


 しかし、短期的にはごまかしが効いても、中長期的には、そのような方便はいずれ破綻するのではないかとも思う。そして、プレート境界型地震の方がローカルな断層レベルの地震よりも規模が大きくなりがちなように、ため込まれていればいるほど、破綻の衝撃も大きくなるのではなかろうか。


 誤解を誤解のままにしておくのは、そのリスクを抱えたままにしておくことに等しい。うまく行けばその方が問題は起こらないのかもしれないが、うまく行く自信がないのなら、早いところ誤解は解いておいた方がすっきりするというものであろう。


 真実とは何かと簡単に言い切れるものではない。だが少なくとも私は、真実に迫ろうとする姿勢の方が、長期的には建設的だと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る