第10話 情報と強迫観念
最新情報を見逃したくないというのは、一種の強迫観念じみたものだと思う。
株価の変動や、ともすればメディア自体が機能停止しかねないレベルの緊急事態でもない限り、分単位で流れる情報は大方数分前の情報と大差ないのに、それでも何かないかと見入ってしまうことが時々ある。
デジタル・デバイドという言葉があり、デジタル情報に接触しない状態でいると膨大な情報を享受できずに遅れを取ると言われているが、情報は有効活用しないのであればただのノイズだ。
状況を知っただけで満足していないだろうか?
世界がどうなるか自分なりに予測し、それにどう対応するか考えることに意味があるのではないだろうか?
多分、その意識がはっきりしないから、情報を知ることに強迫観念症じみた意識を抱いて、ランダムにあらゆる情報を追ってしまうのだろう。
しかもその多くは読み流して、忘却曲線に沿って忘れてしまうもので、知識として活きてこないのだから、ただ無目的かつがむしゃらに情報を集めるのは時間の無駄だと言って良い。
雑談の話題にしかならないニュースか、世界の趨勢に影響のあるニュースか見極め、質のいいニュースチャンネルを選別することも大切だろう。
厳密にはバタフライ効果のように何がどう影響するか予測しきれるものではないのも確かだが、風が吹いて桶屋が儲かるまでの回りくどいプロセスになってしまうとこれはAIにでも任せた方が良い。とはいえ、大きな影響のある本筋は、ある程度までは人力で読み解くことにも意味があろう。
自戒の意味も込めて。
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