★★★ Excellent!!! 立ち尽くす、肩に刺さる雨。 芥葉亭子迷 磨き上げられたナイフのような、一切の無駄がない文体が印象的。 特に「埃の匂い」が好きです。たった二文字なのになぜこんなにも強く、味わい深いんでしょう。 青空に両手を広げた血塗れの女の姿が思い浮かぶ、スサマジイ詩集です……。 レビューいいね! 1 2021年11月14日 09:49
★★★ Excellent!!! 怒りの美しさ koumoto 人は怒ると、普通、言葉が乱れます。怒気にあふれた声や言葉には、近寄りがたいものがあるし、あまり見栄えがいいとはいえない。怒りが憎悪にまで高まると、言葉はなおさら醜くなることが多いでしょう。だから、怒りの表明には慎重にならざるを得ない。そして怒りを隠すうちに、初めからそんな感情はなかったというように、こころを偽ってしまうことも多くなるかもしれない。 でも、喜怒哀楽と俗にいうように、怒りというのは真っ当な感情のひとつです。それを抱えてしまったなら、解放する糸口をなんとか探さなければならない。たとえ、だれも傷つけたくないし、だれとも争いたくないとしても。そんな、表現せざるを得ない、切実な怒りを込めた言葉には、憎悪をまきちらす言葉とギリギリのところで袂を分かって、清廉な美しさが宿ることがある。そんなふうにも思えます。 この詩集には、切実な怒りと毒があります。その怒りからは、他人を攻撃したいという衝動よりも、世界を肯定したいという願いが多分に感じられてなりません。 レビューいいね! 7 2020年11月29日 19:41
★★★ Excellent!!! 自分の中に棲むナイフ 柊圭介 研いだばかりの鋭く光る刃で、あるいはすでに血に濡れた錆びた刃で、言葉を切り刻む。心を切り刻む。 血しぶきをあげたまま凍結させた言葉たちは鮮やかな赤色で残り続ける。 己のエゴイズムをひた隠しにして真っ当なきれいごとを述べるより、いっそこのナイフのように自分自身をメッタ刺しにすればよい。 そうでないと本当に己と向き合うことはないのです。 胸を貫くとどめのひと言はすでに自分自身の中にある。 この詩に触れて、痛みを感じて、 自分の隠し持ったナイフの存在をまざまざと見せつけられるのです。 レビューいいね! 3 2020年6月26日 18:52
★★★ Excellent!!! 危うく、そして、強く。 華やぎ。 ナイフで誰かを傷つけてしまわないようにするあまり、自分を傷つけてしまうのではないか、という危うさを時折感じます。一方で、その危うさも苦しみも乗り越えていこうとする強さも感じます。 止まった足を前に進めるための、ひとつの道標となる言葉に出会える詩集だと思います。 レビューいいね! 3 2020年6月14日 20:03
★★★ Excellent!!! それがどういうものかを知りし人 唯ノ芥 握り締めたナイフは── 時に脅しになり 時に人を傷つけ 時に自分を臆病にさせ 時に下らない自信を与え 時に破滅を呼び 時に逃げる事を許さず 時に孤独にさせ 時に刃向かってきて そして涙で錆びていく そういうことを教えてくれます。 レビューいいね! 4 2020年1月23日 18:46
★★★ Excellent!!! 行き場のない思いを切り裂く 宵澤ひいな 言葉の選択と配置、空白の使い方。 すべてが相俟って、心の深いところに落ちて、いく。 尖っているようで、その実、癒しをもたらす詩。 澱みの溜まった心にナイフを突き立てて、 腐らないよう、その血で洗いたい。 矛盾に押し潰されそうなとき、 詩に癒されることが、あるという証明。 レビューいいね! 7 2019年12月6日 20:00
★★★ Excellent!!! 生身の心をむき出しにしている 名都 蒼 心の中のものを全部むき出しにして表現している。 事象や環境は放り出して、何を感じたか、ただその一点だけを 鋭く取り上げているので 登場人物の感覚がリアルに伝わってくる。 そのリアルさが心地よい。 残酷なほどリアルだけれど、全く飾りがないので胸に響く。 素敵だと思う。 レビューいいね! 6 2019年11月21日 11:36
★★★ Excellent!!! 心に突き刺さるナイフ あいる 暗い 悲しい 寂しい 読んでると辛くなる… なのに共感出来る自分がいるのです。 自分の心の片隅にきっとナイフをもってるからなのだと思います。 素晴らしい詩集です。 レビューいいね! 7 2019年11月17日 05:40
★★★ Excellent!!! 迸る熱量、生々しい感情。 マフユフミ この詩集の主人公には、カッコ悪い自分に絶望しながら、その絶望さえも血や肉に変えてしまうようなカッコ良さがある。 痛みも苦しみも、時には怒りや自身の活力に変え、ただ生きる。 その熱量から目を離せるはずがないのだ。 レビューいいね! 6 2019年10月12日 17:46
★★★ Excellent!!! 汚れた振りをした、汚れ無き者の断末魔 碧木 愁 何度も繰り返す言葉の裏側に、私は言葉とは違ったものを見て取りました。 「いなくなれ」と、「ざまあみろ」 まるで、「本当の自分をもっと見てくれ」、「こんなに汚れた言葉を吐ける自分を誰か愛してくれ」と云っているように感じます。 でなければ、一体誰がこんなに曝け出せるでしょうか。世間は醜いものを嫌います。汚いものから目を背けます。でもこの吐き出している本人はわざとそういった言葉を吐く。彼の中で… 続きを読む レビューいいね! 6 2019年8月22日 02:49