概要
何かが蠢く夏の夜、山の奥の小さな宿で……
小学五年生の夏、私は山間の宿に泊まった。
作者の記憶を概ね忠実に綴った、生物が織り成す恐怖の物語。
何かが蠢く陰翳は、あなたの傍にも…。
作者の記憶を概ね忠実に綴った、生物が織り成す恐怖の物語。
何かが蠢く陰翳は、あなたの傍にも…。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!最高級の演出。暗記するほど読みたいホラー小説。
もうね、文章がめちゃくちゃうまい。
丸ごと暗記してお手本にしたいくらい。
私、ホラー小説は大の苦手なんですけど、この作品はあまりにも文章が素晴らし過ぎて大興奮しながら読みました。
この作品には虫などの小動物が登場しますが、「生物の描写」と「生物の生態」と「主人公の不安や恐怖」が実にうまくリンクしています。
単に生き物を登場させるだけではなく、それらが主人公の恐怖心を煽るのに一役買っているのです。
たとえば、ヤモリ。
ただ登場させるのではなく、曇りガラスごしに見えることで主人公の「正体がよくわからないもの」に対する不安感を描いています。
また、このヤモリが逃げていくシーンを描くことで、実…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人は恐怖を感じているときほど、『見て』しまう生き物だ
あなたはまず、冒頭で一撃をくらう。
恐怖が頭にこびりついて、離れなくなる。
詳細に詳細を重ね、しつこいほどに生々しく描写された世界は、色や音、温度のみならず湿度まで感じることができる。
主人公が触れたものの感触すらつぶさに捕捉できるだろう。
そうだ。
恐怖を伴った美しさというものは、読む者の感覚を無理矢理鋭敏にする。
目をこじ開けられる。視界を広げられる。普段気付かなかった隅の汚れまで気になるようになる。見たくもないものを見続けてしまう、ずっと、ずぅっと、その虫の小さな口の周りまでもが鮮明になるまで……!
私は知らず知らずのうちに引き込まれ、この蟲の宿に一泊するはめになってしまった。
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