タイトルに隠された意味

「生きてんの?死んでんの?」
鏡に映るおのれに問いかける元高校生。主人公は同じ筆者による『不幸自慢』のヒロインです。このお話は『不幸自慢』のそれから。ですので、まず前作をお読みになることを強くお勧めします。

東京、十条駅。セブンスターの煙。コンビニの弁当。
設定や小道具になんとも言えない生活感、リアル感があります。自分の心を虚無で満たし続けようとする主人公の頑なさがいじらしく、やはり痛々しい。でもひとりで生きているつもりになっているのは、自分だけなのかも知れません。
最終話で開かれる新しい世界が、それを思わせてくれました。

スミス殺し、とはいったい誰のことでしょう。
それもラストで明らかになります。
生きるために、殺さなければ。
そうでないと前に進めない。
タイトルに隠された意味が分かった時、得も言われぬ気持ちが押し寄せました。
この続きを読んで本当によかったと思います。

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