第12話 180°違う休日の始まり
さて、今の俺はどこにいるのか。
この日曜日という休日に、なぜ俺は横浜に来ているのだろう。特に今日は5月の中旬とは思えないほどの晴天で気温が高い。友達とアニメイトや有隣堂、ヨドバシカメラとかに行くなら、まだわかるが、俺が今こうしてJRの中央改札口の前で待っているのは創太ではない。
(一緒に出掛ける友達が創太だけというのも悲しい話だが。)
なんだかんだで放課後は居残り勉強も家に帰って勉強もできず、小早川に連れ回され、そして、Limuも交換させられ、挙げ句の果てに俺はこうして休日さえも奪われたわけだ。
(完全に主導権を奪われた!?)
既読スルーという手段も思い付いたが、心が痛むのでできるはずもなく、俺は完全に小早川に振り回される形になってしまった。
そんなこんなで頭を抱えていると、また電車が到着したのだろう、人の波が改札口を通って左右に割れていく、
(この人混みから小早川を見つけるのは無理だな。流石にわからん。)
そう思っていたのだが、見付けてしまった。特に探したわけでもないのに、何か空気の違う箇所があって、眼が吸い寄せられたら、そこにいたのは、
「あっ!おはよー!ごめんね、待たせちゃった?」
小早川 明梨 恐ろしい子!
「おはよう。そうだな、30分は待たされたなぁ~。」
「もうっ!そこは今来たこと。って言うの!それに30分前って、待ち合わせの28分前に来てたの~?楽しみで~?」
皮肉でわざと言った言葉が、こうも逆手にとられると面白くない。
「さぁな。」
そう言って、気持ち早足で歩き始めたのだが、それでも小早川は小悪魔らしい笑みで隣を歩く。
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