第4話 初対面?2
白桜高校から横浜のアニメイトに向かうにはバスに20分ほど乗ってから電車に乗り換えて30分ほどで横浜駅につく。そこから、さらに徒歩で10分ほどかかって着く、決して近くはない。ましてや、1度もアニメイトに来たことのない明梨はもう少し時間がかかってしまった。
「ビブルの上にあったなんて、全然知らなかった。」
「ねー。結構ビブルには来てるのに。」
「しかも、完全アウェーだよ。」
確かにアニメイトの中には明梨たちのようなギャル風の装いの人間はいない。多くは男性で、その中に女性も少なくないが、明梨たちとは、真逆と言っていい装いの人がほとんどだ。
「でも、本当にいるのかな?」
「雰囲気は合ってると思うけどねー」
明梨の疑問に実里は笑いながら答える。
そう、普段なら決して近づくことのないアニメイトに彼女たちが来たのは1つの目的があったからだ。
「創太くんが言ってたからいるはずだよー。」
「本当に実里って情報集め得意だよね」
明梨の言う通り、実里は事ある毎に信じられない程正確で大量の情報を集めてくるのだ。正直、明梨自身も実里にどこまで知られているのかわからないくて、時折怖くなるときがある。
「ふっふーん。」
そんな明梨の心境を知ってか知らずか、自慢げに胸を張る実里。
「でも、蒼馬くんって確か自転車通学だよね?もう買い物済ませて帰ってることだって」
明梨は当然考慮すべき疑問を投げ掛けるが、実里は例のノートを取り出して
「いいえ、その可能性はないわ。自転車でも50分はかかるし、蒼馬くんはアニメイトに来たら1時間は帰らないそうよ。」
本当にどこまで実里は知っているのだろうか。ここまで来たら彼の今いる場所すら知っているのでは?と思ってしまう。
「さて、今日の彼の目的は新刊のライトノベルらしいから、あ!店員さーん!」
実里は店員さんを呼び止めてスマホで何かを見せて少し話をすると、店員さんが「こちらです。」と案内してくれるようなのでついていく。実里の目がキラーンと言った感じに光っているのは、恐らく勘が当たったのだろう。
程なくして店員さんが「こちらになります。」と案内してくれた先には、いた。
「ありがとうございます。」お礼を言い、まだこちらに気付いていない彼を見る。
本当に居場所まで当ててしまった事に対する感想も出ず、明梨は見惚れていた。
「そんじゃあ、後はごゆっくりー」
「えっ!ちょっと!」
呼び止める間もなく実里はどこかへ行ってしまった。
まだ彼は小説の棚を眺めている。真面目に彼を見たことなんてなかったが、なるほど、実里があれだけ推す訳だ。落ち着いている雰囲気は嫌いじゃないし、何だか興味が湧いてくる。
「ねぇ、その小説って面白いの?」
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