第22話 埋められない溝
あのファミレスを出た後、明梨と蒼馬は
「ちょっと見たい映画があるんだよね。」
と言った蒼馬のために映画館に行って、映画を見るらしかった。
しかし、実里と創太は今日はもう後をつけるのをやめていた。
と言うよりも、創太につれられて、実里が無理矢理引き剥がされたと言った方が適切かもしれない。
「で?どうして私まで巻き込まれてるの?」
駅の方に明梨と蒼馬が消えていくのを見届けたあと、実里は創太に連れられてス◯バに来ていた。
(無理矢理つれてきちゃったからって奢ってくれたけど・・・。)
それでも自分の行動を邪魔された実里の機嫌は決して良くなかった。明梨ほどではないものの、かなり美人に分類されるであろう実里が睨むと、こんなにも怖いのかと創太は心の中だけで
(女って怖っ)
と思ったほど。
「せっかく可愛い女の子と出掛けてるんだから、二人きりになりたいじゃん?」
しかし、今まで触れたことはなかったが、創太は相当モテる方の男子である。イケメンでスポーツができて、気配りもできる。勉強だけが、並み程度だが、決してバカではない。そう、今第3者の視点から見れば、ただ単にイケメンと美女がデートしているだけに見えるのである。
・・・実里の機嫌が悪いことを除けば。
ハァ。イケメンスマイルでも全く動じないどころか、余計に機嫌が悪くなった実里を見て、本題に早く入るべきだったと後悔する。
「実里さんって、小早川さんと仲良いんでしょ?」
「うん、そうだけど。中学から同じだし。」
と新発売の高いやつを飲みながら答える。
「そういう創太くんも蒼馬くんとは中学同じだよね?」
「そうだよ。」
「「気になることがあるんだけど」」
今日初めて、二人の思考が一致した。
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