第27話 何なのよアンタ

「あっ!蒼馬!」

「っ!?」

「?」


その声に、蒼馬が過剰に反応したのを私は見のがせなかった。


「久しぶり~元気にしてた~?」

「っあぁ、久しぶりだな。」


ショッピングモールの入り口で突然現れたその女は馴れ馴れしく蒼馬の腕を組むようにしてつかませていた。


蒼馬はその女からなるべく離れようとしていた。


「ちょっと、あなた何なんですか?蒼馬とどういう関係なのっ?」


意識したわけではないけれど、顔色の悪い蒼馬を見て、つい威嚇的な態度をとってしまう。


「──ふーん?蒼馬の新しい彼女?」

「いや、そういうわけじゃないけれど。」


明梨が否定すると女は何やら嬉しそうに


「そっかー!私は蒼馬の元カノだよ。」

「っ!?」


蒼馬が否定しないのだから本当なのだろう。でも、なぜここまで蒼馬の顔色が悪いのか。


「ねぇ蒼馬、久しぶりにお茶でもしよう?」

「ちょっと!蒼馬は私と買い物に来てるんです!」

「え~?蒼馬ダメ?」


すごくあざとい彼女に流石に怒りが爆発しそうになったとき、


「今日は明梨と遊びに来ているんだ。遠慮してくれ。」


蒼馬がはっきりと彼女を否定してくれた。しかも“明梨と“って!


「・・・そっか。じゃあまた今度ね!」


そう言って彼女はショッピングモールから駅の方へと消えていった。


二度と会いたくないと明梨は強く思った。



────────────────────



「はぁ!?なにそれ!?」

「声大きいよぉ。」


あれから二人で買い物をして、お目当てのスイーツには蒼馬も気に入ったようで、楽しく過ごして解散となった。


家に帰ってから実里と通話しているとき、ショッピングモールで会った元カノについて話していた。


「ごめん。でも、それってかなり怪しくない?」

「うん。普通元カレにあんなふうに接するとは思えないし、蒼馬が拒絶してたのも気になるし。」

「もしかしたら、今の蒼馬くんになった理由に関係あるかもしれないよ。」

「だよね。」


蒼馬が人と好んで接するタイプではないとしても異常な拒絶だった。想像ならいくつか理由は思い浮かぶけれど。


彼から話してくれるまで待とうと思っていたけれど、やはり気になってしまう。


「私、もう一度調べてみる。」

「うん。」


この時ほど実里の調査力を頼もしく思ったことはない。きっと創太くんは知っている。


「創太にこのこと話してみるよ。もしかしたらなにか教えてくれるかもしれないし。」

「わかった。」


彼の周りを嗅ぎ回るのは気が引けるが、仕方ない。怒られたら今日食べたスイーツを奢ろう。

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お前みたいな奴、大嫌いだ。でもお前は MASAMUNE @masamune-sanada

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