ボンバーガールBOMB
ざわふみ
ボム編
第1爆弾 ボンバーワーク
ドカーン…ドカーン…上空に低い音が鳴り響く。解体工事に爆弾を使っているのだろうか。しかしこんな平地で解体工事をするはずがない。
その平地には黒いトカゲのモンスターが10匹いた。正確には10匹のトカゲのモンスターが、皮膚へんだけを残していた。その中で1匹だけ生き残っていた。いや1人だけと言った方が正しい。
その、人は長い髪をなびかせながら悠然と立っていた。傷一つなく白い肌を保っている。迷彩柄のチョッキのようなへそが出た服と短パンをはいている。
ふうと息を吐き、服についたほこりをはらった。そのまま何もなかったかのようにすたすたと歩いて去っていった。
そして容姿端麗な少女は研究所のような場所にいた。中で白髪のおじいさんが忙しそうにしていた。
「博士ただいま」
「おかえりボム、ご苦労だったね。人造人間を作る準備をしていたから忙しくての」
「人造人間って、ダイヤモンドで作るって言ってたやつ?…でも材料が足りないんでしょ」
「ああ。ダイヤガメというモンスターがいるんじゃが、その背中にダイヤモンドが付いているらしいんじゃ。採ってきてもらえるかの?」
博士はボムの方を向いてお願いした。
「わたしなら大丈夫だよ。それでどこにいるの?」
「少し遠いんじゃが、西の氷山にいるみたいじゃ。しかし、お腹側から攻撃しないとダイヤモンドを落とさないらしいのじゃ」
博士は少し難しそうな顔をした。
「それはなんとかするよ。でも、この格好で行かせる気?さすがの私でも寒いよ」
「服はわしが用意しよう!…では頼むぞボム。気を付けてな」
「うん行ってくる!」
ボムは迷彩柄の長袖のジャケットに短パン、博士が作った防寒のための特殊な黒いタイツをはいて出発した。
ボムの武器は爆弾である。その爆弾はジャケットと短パンのポケットにしまってある。そして、リュックに食料やポケットに入りきらなかった爆弾などを入れて、背負っている。野宿をしながら氷山まで向かう。
3日後氷山に着いた。ダイヤガメを探して歩き回っていると、段がついた平地にその影があった。
ボムはリュックを置き、ダイヤモンドを採るための準備をした。
ジャケットと短パンのポケットから爆弾を出し確認した。投てき爆弾が5個、マヒ爆弾が2個、風圧爆弾が1個入っていた。
爆弾をしまいダイヤガメに向かって走り出した。後ろから近づき、投てき爆弾をお腹の方に向けて投げた。
しかし、ダイヤガメはお腹を地面につけ爆弾から身を守った。
――すかさずボムは、マヒ爆弾をダイヤガメの顔めがけて投げた。一瞬動きが止まったがまったく効果がない。
いきなりダイヤガメは前足を上げそのまま地面に下ろした。すると地面が盛り上がり、ボムは尻もちをついた。
ボムが起き上がろうとしていると、再びダイヤガメが前足を上げて下ろそうとしていた。
前足が地面に着く直前、ボムは風圧爆弾を投げた。
一瞬間が空いたかと思うと、ものすごい風圧がダイヤガメを空中に浮かせた。
――すかさず投てき爆弾をお腹めがけて投げつけた。
爆弾は命中しダイヤガメは背中からダイヤモンドを大量に落として逃げていった。
ボムは落ちたダイヤモンドを拾い、リュックがある方に戻っていき、博士の研究所に帰っていった。
「おかえりボム、ご苦労様じゃな。わしが作ったタイツは役に立ったかの?何しろ高性能の繊維を使い冷たい空気を一切通さない。なのに通気はすごく良いという最高級品じゃからの」
博士は興奮気味だ。
「ダイヤ重すぎるよ…14歳の女の子になんでこんなことをやらせるの…力仕事は向かないんだからー。…でも悔しいけどタイツは最高だった」
「そうかそうか。タイツは良かったか。わしも作ったかいがあるのう。ダイヤモンドが手に入ったから残る素材はあと1つじゃ」
「あと1つ?その素材ってなんなの」
「人造人間の核ともいえる心臓部に入れる素材じゃ。その名もハートストーン。ハートストーンは物体を動かすエネルギーを秘めている石じゃ。それがあれば人造人間として動かすことが出来るようになる。そして、その周りをダイヤモンドで覆うことでハートストーンが壊れることもないのじゃ」
博士はハートストーンの説明だけをした。
「ふーん………ってその素材はどこにあるのよ」
「そうじゃ忘れてた。ピンクの洞窟と呼ばれる場所にあるみたいじゃ。南に少し行ったところにある。ボムには悪いんじゃが明日行ってもらえんかのう」
「しょうがないな。わたしも人造人間が動くところ見たいし。いいよ!」
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