第4爆弾 ボンバーワーク2(前半)

 容姿端麗な少女と明朗快活な人造人間の少女は、研究所から南に少し歩いたところにある町のバーに来ていた。

 バーの中はオレンジの照明がいくつも付いていた。バーカウンターがあり、カウンターの後ろにはお酒や他の飲み物が並べられていた。テーブルとイスが何台か並ぶ所に客が何人か座っていた。


 一番奥のテーブルがある所に2人の少女は腰をかけた。マスターらしき人が来ると、2人の少女はジュースを頼んだ。しばらくして2人の所にジュースが来た。ジュースを飲みながらアーティが楽しそうにしゃべり始めた。


「今日初めてボムを手伝ったけど、あたし達なかなか息が合ってたんじゃない。コンビネーション抜群ね!」

「うーんそうかな。ほとんどわたしがやってたような…。確かにアーティは初めてにしては良かったけど、まだこれからって感じだなー」


 ボムとアーティが話していると近くにいた男達がこそこそ話を始めた。


「おい、あそこにいるのボンバーガールじゃないか。変な博士の研究所で働かされてるっていう」

「あー、爆弾を使うちょっと変わった子かー。顔はかわいいのにおしいなー。隣にいるのは誰だ?初めて見る顔だな。あの子もかわいいな」

「お前は顔だけしか見てないなー。まあ分かるけど」


 アーティは男達の話に聞き耳を立てていた。


「なになにわるぐち?もう失礼だなー。ところで、ボムはボンバーガールって呼ばれてるの?」

「そう、みんなそう呼んでる。でもいつものことだから大丈夫!他の人から見れば変って思われるのもしょうがないと思うし」

「ボムが良いならいいや。今日はあたしも頑張ったし、初めて手伝った記念に、かんぱーい!」


 ――店に来る数時間前、ボムとアーティは研究所にいた。2人は出かける準備をしていた。


「アーティ、はしゃぎすぎるんじゃない。遠足じゃないんじゃぞ!」

「うんわかってるよ。気を付ければいいんでしょ?大丈夫だよ!」

「大丈夫。何かあってもわたしがいるからなんとかなるよ」

「すまんなボム。アーティを頼むぞ!」

「うん任せて!」


 博士は説明を始めた。


「今回は格闘リザードというモンスターの尻尾を集めてきてほしいんじゃ。尻尾の皮でアーティが拳法を使う時に付ける手袋を作りたいんじゃ。ここから東に行った岩場に住んでいるらしい」

「アーティ聞いてた?今日はあなたのために行くんだって」

「聞いてた聞いてた。頑張ればいいんでしょ」


 場所は研究所東の岩場。ボムとアーティは岩場の陰に隠れていた。

 ボムは荷物を置き、爆弾の準備をした。


 格闘リザードは格闘に特化したリザードである。ほとんどは群れで過ごしているが、たまに自信過剰な格闘リザードが一人でいることがある。ボムとアーティが見つけたのは5匹の格闘リザードである。5匹の格闘リザードは岩がある所に腰かけていた。

 ボムは岩場の陰から走って行き、戦闘態勢に入った。アーティはボムの後を慌ててついて行った。


「はあぁぁっ…」


 ボムが1匹の格闘リザードに近づいて行った。

 格闘リザード達は少しびっくりしたようだが、すぐに体勢を立て直しボムを迎え撃つために構えた。ボムは近づいた格闘リザードに投てき爆弾を投げた。

 すると格闘リザードは尻尾で爆弾を弾いた。弾かれた爆弾は地面に落ち爆発した。


「くっ…」

 ボムは格闘リザードの突きをかわし、後ろに下がった。残りの格闘リザードも絶え間なく、突きや掌底、蹴りを繰り出し、ボムはかわすことだけしかできない。


 一方、アーティは出遅れて、ボムの戦いを見てることだけしかできないでいた。そこに1匹の格闘リザードがアーティに気づいて襲いかかった。


「うわっ」

 アーティは驚いた勢いで尻餅をつき、格闘リザードの突きをかわした。アーティはすぐに立ち上がり戦闘態勢に入った。


「あたしの本気見せちゃうよ!」


そしてアーティは拳法の構えを取った。

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