第3爆弾 ボンバーディスクリプション
ある日の昼下がり、ボムとアーティは部屋の掃除をしていた。ボムは箱を移動させながらアーティに話しかけた。
「ねえアーティ、そこの床をほうきではいてくれる?」
「うん。あのさボム、ボムはなんで爆弾しか使わないの?他にも武器あるでしょ」
アーティは、ほうきではきながら聞いた。
「うーん、あまり覚えてないんだけど、博士に拾ってもらってから使ってるからなあ。でも爆弾に魅力を感じたんだよね」
「普通は爆弾が好きっていうと変な人って思われるでしょ。嫌じゃないの?」
「嫌じゃないよ。確かに変な人って思われるかもね、でもわたしは爆弾が好きだからいいの」
「すごいねボムは。好きなことを貫けるって」
「そうだね。でもわたしも最初は爆弾を使いこなせなかったんだ」
ボムは、ははっと笑って何かを思い出したみたいだ。
「そういえば、その爆弾ってどういう仕組みなの?ボムは爆弾の近くにいてもなんともないんでしょ」
「そう、わたしも簡単にしか分からないんだけど、特殊な紙があってそれにわたしの血を染み込ませて爆弾に貼ると、爆弾の効果を受けないらしいんだ」
アーティは、えっ?と驚いた顔をした。
「その血の持ち主だけなの?」
「そう、その他のものは爆発するって、博士から聞いた」
「でも待って、爆弾っていっぱいあるよね。ボムの血が無くなっちゃうよ」
「それはね、博士が作った、液体の量を増やす錠剤で数滴の血をいっぱい増やすの。だから大丈夫!」
アーティがほうきで床をはき、ボムは本棚を整理している。たわいもない話をしながら2人は掃除を続ける。
「そういえば爆弾ってけっこう種類あるよね、どんな物があるの?」
「そうだなー。まず投てき爆弾っていうのがあるんだけど、その名の通り投げて爆発させる爆弾だね。爆弾に付いたピンを外してしばらくすると爆発するよ。これは爆発する範囲があまり広くないから、ほとんどは対象物の近くで使ってるね。わたしがよく使う爆弾だよ」
ボムは本を入れ替えながら説明をする。
「でもボムに効果がないんだったら、持ったまま爆発させることもできるよね。なんでしないの?」
「それはなんとなくだよ。いくら効果がないって言っても爆弾は投げるイメージでしょ。まあ、持ったまま爆発させる爆弾もあるけどね」
アーティは「えっ、どんな爆弾?」とまた興味津々で聞いた。
「振動爆弾っていう爆弾なんだけど、ちょうどあなたの心臓部を探しに行ったときに使った物なの。ピンクの洞窟で」
「へぇー、ボムが見つけてきてくれたんだ。ありがとうね」
「それで振動爆弾は、ピンクの洞窟の一番奥にいた鎧の兵士を倒すのに使ったの。鎧の兵士は剣と盾を持ってて、盾を前に出してくるから投てき爆弾が効かなかったの。そこで登場したのが振動爆弾よ!」
ボムは誇らしげな顔をした。
「なんでドヤ顔なの。博士が作った爆弾でしょ」
「博士、地味にすごいよね。振動爆弾は対象物に触れてないと効果がないんだよね。その代り、触れてると威力がすごいの。中から爆発するから」
言った後ボムは手で爆発の動作をした。
「うわ、怖いね、振動爆弾。あんまり使わない方が良いんじゃない?」
「そうかもね。いざという時に使った方が良いかも。でも振動爆弾は基本的にたくさん作れないんだって、作るのが難しいみたい…」
「へぇー、他には爆弾あるの?」
ボムは、他にマヒ爆弾と風圧爆弾があることを教えた。
マヒ爆弾は対象物に当たって衝撃が加わると、しびれてしばらく動けなくなる爆弾である。ただし、効かない場合もあるらしい。
風圧爆弾は対象物に当たって衝撃が加わると、上向きに強い風が吹くという爆弾である。対象物を浮かせるときに使う爆弾だという。
「今はこれだけしかないよ」
「そっか、今は4種類だけなんだ。また博士が新しい物を作りそうだね」
ボムは本棚の整理を終えたらしい。一方でアーティは、部屋の隅をほうきではいていた。
「よしっ、掃除終わり!だいぶ片付いたから、そろそろ博士の所行こうか。お腹すいたし」
「ご飯って誰が作るの?もしかしてボムが作るの?」
「ううん。博士が作った、料理をする機械だよ。けっこう料理の完成度高いんだよ!でも機械の見た目はちょっと不気味だけどね…」
「そっか。あたしもどんな味か知りたいな。早く行こっ!」
「うん、今行く」
ボムとアーティは2階の部屋から、1階の博士が研究している部屋に降りて行った。ボムはアーティの後を追いながら、昔のことを少し思い出していたのだった。
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