第2爆弾 ボンバーフレンド

 容姿端麗な少女はピンクの洞窟の前にいた。


 準備してきたリュックを背負って洞窟の中に入っていった。持ってきたランプを片手にボムは慎重にかつ早足で進んでいく。

 しばらく進んでいくと広い場所に出た。その奥にピンクに光る石ハートストーンが落ちていた。光っている場所に進んでいこうとしたとき、広場の中央の地面から鎧を着た兵士のようなものが出てきた。ハートストーンを守るようにその兵士は立っている。


 ボムはすぐさま爆弾を取りだし、戦う準備をした。鎧の兵士は出てきたままの状態を保っている。ボムが鎧の兵士に近づいていくと鎧の兵士は動きだし、剣と盾を構えた。


 ボムは投てき爆弾のピンを外し投げた。しかし、鎧の兵士は盾を前に出し爆発を防いだ。続いて、投てき爆弾を3つ連続で投げた。爆発する寸前、鎧の兵士は剣を地面に突き刺した。

 すると鎧の兵士の周りの地面から、とがった岩の欠片が飛び出した。欠片はボムが投げた爆弾に当たり、爆発は鎧の兵士に届かない。


 その欠片はボムの身体にも刺さり、血が出た。「痛っ」とボムは言ったが動きは止めない。もう1つ投てき爆弾を投げた。鎧の兵士が盾を前に出したのと同時に、手に持った爆弾を盾に押し当てた。すると鎧の兵士は体を震わせて飛び散った。


「ふぅ~、やっぱり強かったな。この振動爆弾がなかったら危なかった~」


 そう言うと奥に落ちていたハートストーンを拾った。そのまま鎧の兵士が飛び散った所に歩いて行った。下に落ちていた剣と盾も拾った。


「これも持ってかえろ。何かに使えるかも」


 こうしてボムはピンクの洞窟を後にした。そして、研究所に倒れるように入り込んだ。中で白髪のおじいさん、ではなく博士が待っていた。


「疲れた~。博士ただいま。手に入れたよ、大変だった」

「おかえりボム。傷だらけでどうしたんじゃ。何があった!」

「ハートストーンを守る鎧の兵士みたいのが岩の欠片を飛ばしてきて、血が出ちゃったんだ」


 博士は何かを探しに行って戻って来た。


「それは大変じゃ。このすぐに傷が無くなる傷薬を使うんじゃ。女の子の身体に傷を残すわけにはいかん」

「あ~、こういう時博士がいてくれてよかったな~」

「そうじゃろ、そうじゃろ。わしはすごいんじゃよ。何しろわしは…」

「話は後でするから休ませてくれない?すごく疲れちゃって。シャワー浴びたらしばらく寝るね。後、その剣と盾は何かに使って」

「すまんな…わしはすぐに長話をしそうになるんじゃ。人造人間が完成する前にボムを呼ぶな、見たいじゃろうし。じゃあお休み」

「うん、ありがとう。お休み」


 そう言うとボムはシャワーを浴び、着替えて自分の部屋に入っていった。しばらく経ってから博士の呼ぶ声が聞こえてきた。どのくらい寝ただろうか、あまり時間は経っていないがボムは熟睡していたようだ。


 博士の研究部屋に行くと、少女の見た目をした人造人間が無機質なベッドに仰向けに寝ていた。博士がちょうどハートストーンを人造人間の心臓部分にはめ込もうとしていた。


「おお、ボム起きたか。ハートストーンを入れたら動くはずじゃ。準備はいいかの?」


 ボムは深呼吸をした。

「うん、少しドキドキする」


 博士はゆっくりハートストーンをはめ込んだ。

「よし入れたぞ。これで心臓部分を閉じれば動くはずじゃ」


 しばらく経つと人造人間は手足がピンと伸び上半身が自然に起き上がり、ゆっくりと目を開けた。人造人間は辺りを見回して口を開いた。


「あなたは誰?」

 人造人間の少女は博士に聞いた。


「わしはお前を作った博士じゃ。気分はどうじゃ?」

「うーん……どうって言われても。普通かな…」

「成功じゃな!わしは天才じゃからな」

「そっちの女の子は誰?」

 今度はボムに聞いた。


「わたしはボム。どこからどう見ても人間にしか見えないわね。ところで、あなたの名前を考えないと呼びにくいわね…」

「名前?あたしの?」

「そうじゃな…。人造という意味のアーティフィシャルからとってアーティはどうじゃ?」

「アーティ…アーティ…良いんじゃない!ぴったり」

「あたしの名前はアーティ…うん、良い名前かも!」


 人造人間の少女アーティは名前を気に入ったようだ。


「アーティ、お前にはボムの手伝いをしてもらうぞ。いいかな?」

「うん分かった!でも手伝いって何するの?」

「依頼が来たら、まあほとんどわしじゃが。それをこなすとかじゃな」

「ふーん、そうなんだ。…それはそうと、服をくれない?この布だけだとちょっと寒くて…」


 アーティは震える動作をした。


「そうじゃそうじゃ!特殊な服を用意してたんじゃ。ボムは爆弾を使うから簡単に破れない服を作ったんじゃよ」

「人造人間って温度が分かるの?ますます人間みたいね!」

「ああそうじゃ。飲食もできるし人間らしいことならほとんどできる。まあ血は流れてないがな。違うのは身体の取り外しができることだけじゃ」

「そうなんだ。これからよろしくねアーティ。わたし達は友達だよ!」

「友達……あたしの初めての友達……うれしいな。よろしくねボム!」


 ボムとアーティはあつい握手を交わした。


「そしたら、今日はもう遅いから寝なさい。アーティはボムの部屋で一緒に寝るんじゃ」

「分かった。じゃあアーティ一緒に行きましょ。案内するよ」

「やったー!今日は眠れないかも」

「あなたさっきまで眠ってたんじゃないの?」

「そうだったー、バカだなあたし」


 ボムはアーティを案内するため研究部屋を後にした。


「お休み2人とも。それにしても大丈夫かの…アーティは。心配じゃな…」

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