第9爆弾 ボンバーストレンジ(前半)

 ボムとアーティはどこかに行く準備をしていた。


「アーティ寝袋持った?」

「あっ忘れてた」


 アーティはボムに言われてから寝袋をバッグにしまった。

 ボムは準備が終わりそうだった。


「そろそろ行くよアーティ!」

「待って…よしオッケイ!」


 アーティは荷物を背負い準備ができたようだ。


「アーティ、行く前にもう一度確認しておくぞ!」


 博士が心配して最終確認をする。


「行ってもらう場所は、北に少し行った所にある灰色山じゃ。そこにいるタイニードラゴの体内にある核を採ってきてほしい。新しい爆弾を作るためじゃ。分かったか?」

「オッケイ!分かったよ」

「オッケイって、本当に分かったのか?」

「大丈夫だよ!」

「そうか。ならいいんじゃが…」


 博士が晴れない顔のまま2人は出発した。


 灰色山は北に位置し、巨大な山脈が連なる。

 灰色山の名前の由来は様々だが、火山灰が積もってできたから、という説が有力である。


 その灰色山に生息しているのがタイニードラゴだ。

 タイニードラゴはその名の通り、普通のドラゴンより小さいのが特徴である。


 普通のドラゴンというのは、体長が2メートル以上のドラゴンのことだが、タイニードラゴは最大でも体長1メートル60センチ程である。


 ボムとアーティは、木がまばらに生えた道を歩いていた。


「アーティ、まっすぐ歩いてる?ふらふらしてない?」


 アーティは心なしか、ジグザグに歩いているように見える。


「えっ、そう?あたしはまっすぐ歩いてるつもりだけど…」

「そう?それならいいんだけど…」


 その後も、アーティのジグザグ歩きは直らなかった。

 

 砂利道を歩いている時だった、アーティが突然停止したと思ったら、全力で走り出した。

 走り出したが、ある程度行くと木にぶつかった。


「うぅ…どうしたんだろ?あたし…」


 ボムが少し早歩きで近寄ってきた。


「大丈夫?なんでいきなり、走り出したの?」

「分からない…体が勝手に動いた、みたいな?」

「みたいな?ってことは覚えてないの?」

「うーん…うっすらと、かな?急に走りたくなったんだよね」


 アーティは首をかしげている。


「もう大丈夫?行ける?」

「うん。もう大丈夫!」


 ボムは、アーティの手を引っ張って立ち上がらせると、再び歩き出した。

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