第7爆弾 ボンバーメモリー2

 博士のバギーが突然止まった。

 どうやら博士の研究所に着いたらしい。


「ねぇ博士。着いたの?」

「ああ、そうじゃ。ここがわしの研究所じゃ」


 博士とボムはバギーから降り、研究所の入り口まで歩いて行った。博士が扉を開けて中に入っていくと、ボムは少し警戒しながら博士について行った。


「ここで何してるの?」

「そうじゃな。色々な物を開発していると言えば分かるかの」

「開発って作るってことだよね。博士すごいね!」

「まあ、今は開発途中じゃがな」


 研究所の中は右側に1部屋、奥へ続く廊下と上に続く階段があった。

 博士は1階の奥へ続く廊下を進んで行った。

 ボムも博士の後をついて行った。


 奥の部屋に入ると机がいくつか置いてあり、机の上には開発中らしき物と書類が散乱していた。

 博士はボムを椅子に座らせると、どこからか水の入ったコップを持ってきてボムに渡した。


「ありがとう博士。ちょうど喉が渇いてたの」


 ボムはコップの水を飲み干すと、机の上に散乱している書類を覗き込んだ。


「これ何作ってるの?」

「ああ、それは爆弾じゃ」

「爆弾って、どっかーんってなるやつでしょ。お父さんから聞いたことある」

「ふつう爆弾は近づいたら危ないじゃろ。じゃが今開発しているのは近くにいても大丈夫な爆弾じゃ!」

「すごーい!完成するといいね!」


 するとボムは突然真面目な顔になると、少しためらってから話しだした。


「わたしお父さんとお母さんを救いたいんです。だからそれまでここにいさせてほしいんです。その代り手伝いと修行をさせて下さい、お願いします」

「それは全然構わんが…修行ってわしは何をすればいいんじゃ?」

「うーん…あっ、今開発してる爆弾が完成したら使わせて。使ってみたい!」

「使ってみたいじゃと?君も変わった子じゃな。うむ…まあ完成したらわしが試す予定じゃったからの。いいじゃろう、使ってもよいが使い方を誤ると他人を傷つけかねない。使う時は気を付けて使うんじゃぞ」

「はい気を付けます!」



 それから3年が経ち、ボムは10歳になった。

 ボムはいつものように博士の研究部屋にいた。

 博士はまた何かを開発中である。


「ねえ博士、修行してくれない?」

「すまんのうボム。わしは手が離せないんじゃ。向こうで的にボールを当てて投げる練習をしておいてくれるか?」

「えーっ…もうしょうがないなぁ。また一人か―…」

「これもボムのためじゃ。これが開発できたら修行を手伝うからの。絶対じゃ!」

「絶対だよ!ゆうげんじっこうだからね!」

「どこで覚えたんじゃ、全く」


 ボムはその日ボールを投げる練習をし、夜ご飯を博士と食べ、ベッドで眠りについた。

 この繰り返しが数か月続いたある日、博士が開発していた爆弾が遂に完成した。


「完成じゃーーっ!遂に、遂に…やったぞー!」

「本当に!?じゃあわたしが使ってもいいの?」

「いや、まずはわしが試す。失敗したら危険じゃからな」

「ぶーっ。でも後でわたしにも使わせてね。絶対だよ」

「ああ、使わせてあげるぞ。これから嫌というぐらい使うかもしれんからな」


 そう言うと博士は、研究所の外の少し離れた所に移動し木で作った的を置いた。

 そして、的から離れた所に位置した。

「ではいくぞ!」


 博士は爆弾のピンを抜くと的に向かって投げた。

 放たれた爆弾は的に当たる前に爆発した。ものすごい音で爆発し的は跡形もなく弾け飛んだ。

「うまくいったのか?」


 博士は傷が一つも付かなかったが、白衣に少し穴が開き汚れが付いた。


「白衣に穴が開いてしまったな。これは少し改造が必要だな」

「どう博士、これはうまくいったの?」

「ああ、とりあえずはな」

「じゃあ今度わたしの番ね!」


 ボムが爆弾に触ろうとしたとき博士が突然止めた。


「待て待て。この傷付かない爆弾は使う人の血が必要なんじゃ。ボムの血はまだ採ってないから採ってから使わないと駄目じゃ!」

「はーい…じゃあ早く採ろう!」

「ああ、いったん中に戻ろう。行くぞ」


 ボムの血を採るために博士とボムは研究所に戻って行った。


「博士遅いよー。早く来てー!」

「待つんじゃボム。そんなに急ぐと…慌てなくて……」


 突然、博士の声が聞こえなくなった。


 ボムが目を覚ますと自分の部屋のベッドの上だった。


「何だ夢か」

 ボムは小さかった頃の夢を見ていたらしい。

 そして、起き上がると下に降り博士の研究部屋に行った。


「おおボム。寝ていたのか?部屋に行ったまま戻ってこなかったからな」

「うん。ここに来た時の夢を見てた!博士、ここにいさせてくれてありがとうね!」

「何じゃ今更。まだボムが成すべきことが残ってるじゃろ。まあ今更出て行けとは言えんよ」

「これからもお世話になります。なんてね」

「もう教えることはないよ」


 ボムと博士はその後、昔の話で盛り上がったのだった。

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