第19爆弾 アーティドア

 クエストは空間の端に何かを組み立て始めた。

「これが完成したら、ここから出られるの?」アーティも手伝いながら聞いた。

「ああ。これが出来たらアーティの力も借りたいんだがいいか?」

「うん、いいよ!いくらでも」アーティは微笑んだ。

「ありがとうな」


 二人が話しているとリンスが拠点の方から歩いて来た。

「精が出るわねー!」

「まだ時間がかかりそうだ」

「私には何を作ってるか分からないけど、手伝えることがあったら言ってね!」

「ああ、ありがとうな」


それから何日もクエストは作業を続けた。そして、ようやくその作っていたものの正体があらわになった。

「これって扉?」

「ああ。これにアーティの爆撃拳の力を与えて、この空間から脱出するっていうわけだ」

「なんかすごそうだね!」

「みんなで協力してここから脱出しよう!」

「うん」

アーティは扉の前に立っていた。扉は黒い金属のような素材でできている。扉の真ん中にはへこみがあった。

「そこのへこみに爆撃拳を当ててくれるか?」

「分かった。ついに出られるんだね!気合いを入れちゃうよ!」

「アーティちゃん頑張って!」


クエストとリンスはアーティの後ろに立った。足を肩幅に開いたアーティは、腕を前に伸ばしたまま、両手の同じ指どうしをくっつけて輪っかを作った。

そして輪っかの手を胸の前に引き寄せた。

すると、アーティの周りに気の流れができた。それから右手の突きを扉の真ん中に的中させた。


「うりゃーーっ……!!」

少し間を開けた後、黒い扉のすき間が白く光り始めた。

「いいぞアーティ!」クエストは喜んでいる。

「これで帰れるのね…!」リンスは胸をなでおろしている。

「アーティ、扉を開けてみてくれ」

「分かった。やってみる」

アーティが黒い扉を開けると、扉の先に白い空間が広がっていた。


「帰れる保証はないかもしれないけど、それでもついてくるか?」

クエストは少し険しい顔になった。

「ええ。一緒に行くわ!」リンスはクエストの肩に手を置いた。

「行こう!」アーティも覚悟を決めた。

「ありがとう、二人とも」


それからクエストとリンスとアーティは荷物を持って、扉の先の空間へ入っていくのだった。

― ― ― ― ― ― ― ―

とある場所の一人の少女は夢を見ていた。

研究所のような場所が見える。そこには白衣を着た博士のようなおじいさんと、肩にかかるくらいの茶髪の少女がいた。話し声は聞こえないのだが何かを話している。

“南東”という言葉と“次元竜”という言葉だけ聞き取れた。その後目の前が暗くなって次の瞬間天井を見ていた。


「大丈夫か…ボム?」森の小屋のおじさんは優しく声をかけた。

「北西にある研究所にわたしを知っている人がいるかもしれない…」

「そうか…一人で行くのか?」

「そうするけど、また戻ってくるよ」

「気持ちだけもらっておくさ…」

「ありがとう、おじさん!」

ボムは準備をして研究所を目指すことにした。

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ボンバーガールBOMB ざわふみ @ozahumi

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