海水準変動
古代を語る時に考慮しなければならないものとして海面の高さがあります。その推移を現したのが海水準変動になります。
最も有名なのが「縄文海進」で、最も海水面が高い時は現在より2~3メートル、一説では10メートル高かったと言います。その海水面の高い時期の海岸線に沿って貝塚が発見されるために考古学と切り離せない存在です。
しかし、その前後については語られないことが多いように思われます。
縄文海進より前はと言うと、氷河期になります。
1万6千年前くらい前の海水面は-120メートルくらいだったようです。
海水面が120メートル上がるのに一本調子とは考えにくいので、上がる時期、停滞する時期、下がる時期などを繰り返しながら上昇したと思われます。
もしかしたら数年で2、3メートル上昇するなんてことが有ったかも知れません。
そうすると連想するのがノアの箱船に代表される洪水神話です。雨が降り続いて世界が水に覆われます。
それは海進の様を示しているのではないでしょうか。
もし、急激に海水面が上がる時期が有ったとすると、その時期は水蒸気量も多かったに違いありません。そうすると雨が降ります。いつ止むとも知れない雨が降り続くこともあり得ます。
それを記憶、あるいは記録されて伝わったのが神話になったのではないでしょうか。
となれば、そんな時代から人は言語を使いこなし、少なくとも口伝を語り継ぐだけの知恵が有ったことを意味します。
ところが残念なことにノアの生きた時代は今から約4500年前とも言われ、全然時期が違います。
ただ、これには奇妙なところも有ります。
旧約聖書にエレクとして登場する都市がウルクで、ウルクは紀元前4000年~紀元前3100年の都市とされます。つまり、今から6000年前の縄文海進の時代の都市と言うことになります。そしてエレクが登場するのは旧約聖書の10章で、ノアが登場するのは9章なのです。
どこから4500年前が出て来たのでしょうか。
縄文海進以降に目を向けると、幾度かの海退と海進、名前が付いているものとしては1000年前前後の平安海進(ロットネスト海進)、600年前前後のバリア海退、400年前頃の中世海進を経て現在に至ります。
しかし、平安海進以前は曖昧模糊としています。グラフをプロットする人によって様々なグラフが描かれる感じです。平安海進の時期にむしろ海退しているようなグラフを見ると、どちらが間違っているのか判らなくなります。
一番の懸念は地球温暖化のような別のイデオロギーに左右されている可能性や、自説に合わせてプロットしている可能性です。
温室効果ガスに因らない温暖化が起きていたら都合が悪いとか、海水面が3メートルばかり高くないと自説が崩れるとか言った理由で事実とは異なる主張となってしまっていたら考古学が停滞します。
それはともかく、最も自然に感じられるのは海水面の上下動が波形を描くものではありましょう。
一つ注意しなければならないのは、○○年前の海岸線が現在より陸に食い込んでいたとしても海水面が高かったことにはならないと言うことです。
沖積平野であれば、放っておけば海岸線は徐々に海に迫り出します。昔の海岸線が陸に食い込んでいるのは極自然なのです。
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