その他

焚書と大和朝廷

 史書には焚書が付きまといます。王朝が変わった時にその正統性主張のため、あるいは思想信条によって焚書が行われたりします。

 近年ではカンボジアのポル・ポト政権によるものが有名でしょう。燃やされたのは書物だけではありませんが。


 中国の場合は簒奪が当たり前の事情故か、広大な国土故か、多くの史書が残されています。利害関係が無くなっただろう後代に史書が編纂されるのも大きな理由でしょう。

 史書を編纂できるだけの資料が残されていたことを考えれば後代云々はあまり関係ないかも知れません。


 清書とか中華民国書はいつできるのでありましょうか。


 翻って日本はと言うと、思いっきり歴史の改竄と焚書の痕跡が有ります。古事記や日本書紀です。

 それらが残されているのは単に王朝の交替が無かったからと言えます。


 どうして焚書を要したのか。


 神武天皇が架空の人物だとの説も有りますが、大和朝廷が元々畿内に土着であるなら神器は銅鐸だと思われるので、2世紀頃に銅鐸文化圏を駆逐した神武天皇及び欠史八代が居たと考える方が腑に落ちます。


 因みに銅鐸は中国の春秋戦国時代に浙江省付近に有った越が滅びた時の難民が近畿に流れ着いて伝えたものと思われます。

 何の証拠も無いので想像でしかありませんが。


 800年程度の引き延ばしは、実際には生前退位をしていながら崩御まで在位していたように見せ掛ける事と、崩御年齢を在位年数に置き換える事とで行ったのではないでしょうか。


 この考え方だと仲哀天皇は9歳で崩御した事になり、応神天皇が生まれる訳はないのですが、恐らく系譜に捏造が有ります。

 それと言うのも妃である神功皇后は九州王朝の女王と思われ、妃になりようがないのです。

 神功皇后について論じている方は多いので検索してみてください。


 もし神功皇后が大和朝廷の皇后として三韓征伐をしたのであれば、白村江の戦いで破れたのは大和朝廷になります。百済が救済を求めるとすれば大和朝廷になるからです。

 そしてそんな負け戦の後にのこのこと遣唐使を送れるとは思えません。

 また、唐が進駐したのは筑紫地方だけのようですし、唐の進軍を阻止するためと言われる御所ヶ谷神籠石を始めとした神籠石の砦が九州各地に築かれている事とも整合しません。

 三韓征伐も白村江の戦いも九州王朝が関わっているなら整合性が取れます。


 それはさておき、引き延ばしについてこの考え方で辻褄が合うかどうかは計算していないので判りませんし、顕宗天皇、仁賢天皇がどこの誰なのかって話にもなります。

 ただ、市辺押磐皇子が仁徳天皇か允恭天皇の嫡子でなく庶子だったものを履中天皇の養子として迎えたなら系譜は繋がります。

 それでも仁賢天皇は数え11歳で武烈天皇を生んだことになり、武烈天皇で系譜が途切れます。


 次に継体天皇が応神天皇の子孫だとして即位しますが、一体どこから来たのでしょうか。やはり誰かの庶子だったのでしょうか。

 尾張氏か蘇我氏、あるいはその両者の結託によって連れてこられたのかも知れません。

 可能性としては、応神天皇か仁徳天皇の庶子の子孫。そうでなければ出雲王朝の末裔、狗奴国の末裔あたりでしょうか。


 仮に継体天皇の出自を隠蔽する目的で焚書をしたのだとすれば、その直前である武烈天皇や仁賢天皇の在位期間は正しい数字にしている可能性は有ります。


 言ってて何ですが、継体天皇の出自の隠蔽程度で焚書は無いですね。

 一人だけの系統を隠蔽するためなら部分的な改竄をすれば良いだけで、そうした方が騙しやすくもなります。


 しかし継体天皇を含めた推古天皇までの欠史十代近辺の系統はかなり怪しいです。舒明天皇の前はなぜ敏達天皇の兄弟達で皇位を引き継いでいるのでしょうか。

 もしこれだけの範囲で血統の改竄が有ったとするなら、焚書したくなるかも知れません。


 しかし、そんな考え方よりも、歴史を欲して九州王朝の歴史を簒奪したまでは良かったが、そのままでは簒奪ばばれてしまうから証拠隠滅したと考える方が自然な気がします。


 血統の簒奪が無かったとすると、神武天皇の出自が九州王朝とは考えにくいです。権力闘争に負けて逃げたのだとしても歴史を捏造する必要が有りません。堂々と九州王朝の出自だと主張するのも叶いましょう。

 となれば、やはり出雲王朝の末裔、狗奴国の末裔あたりでしょうか。


 ヤマトタケルは出雲を騙し討ちしていますが、少なくとも同盟関係ではあったのでしょうから、内ゲバか内乱みたいなものなのではないでしょうか。


 これは大和朝廷の他、九州王朝と出雲王朝が有ったとしての話です。

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